2024年度地球さんご賞 八女実行委員会受賞作品

先に募集しておりました「第3回さんご賞八女/小・中学生作文・エッセイコンクール」の入賞者を発表いたします。
八女地球さんご賞は小中学生の皆さんが、地球環境について文章を書くことで、かけがえのない命や地球環境の現在と未来や大切さを考え、みんなで次の世代へより良い地球を渡したいことを主な目的として開催しております。2024(令和6)年7月から同年9月14日(土)まで作品を募集し合計1,930点ものご応募をいただきました。


受賞作品

西日本さんご賞大賞

氏名作品名所属
平島 愛梨因果応報八女市立黒木中2年

西日本さんご賞準大賞

氏名作品名所属
塚原 諒うみのいきもの八女市立福島小2年

西日本新聞社賞

氏名作品名所属
有田 茜奪われたもの八女学院中2年

福岡県知事賞

氏名作品名所属
東 洵臣地球温だん化でメダカ危き八女市立黒木西小5年

うみまる賞

氏名作品名所属
宮城 陽向渡嘉敷島のサンゴ礁沖縄県豊見城市立豊見城中2年

八女市長賞

氏名作品名所属
江嶋 優乙暑さは異常輝翔館中等教育3年

八女市議会議長賞

氏名作品名所属
服部 凌万きれいな世界に八女市立福島小6年

八女市教育長賞

氏名作品名所属
伊東 陽誠地球さんへ八女市立川崎小2年

久留米市長賞

氏名作品名所属
岡村 陽依分類の達人久留米市立城南中1年

久留米市教育長賞

氏名作品名所属
田中 蒼環境問題久留米市立筑邦西中1年

みやま市長賞

氏名作品名所属
山城 文乃ニホンウナギと竹林伐採の関わりみやま市立清水小6年

みやま市教育長賞

氏名作品名所属
末吉 栄達サワガニと僕みやま市立瀬高中2年

柳川市長賞

氏名作品名所属
大橋 彩楓ほたる柳川市立豊原小1年

柳川市教育長賞

氏名作品名所属
浦 希乃葉海洋汚染柳川市立皿垣小6年

福岡県八女森林組合長賞

氏名作品名所属
栗原 愛佳矢部村の自然を守るためにわたしたちができること八女市立矢部清流学園小5年

福岡八女農業協同組合長賞

氏名作品名所属
緒方 美咲もうへばらせない!八女学院中3年

矢部川漁業協同組合長賞

氏名作品名所属
松本 幸陽スマホを置いて輝翔館中等教育中2年

奨励賞

氏名作品名所属
栗原 柊花やまめ八女市立矢部清流学園1年
おか野 ねねはじめての川あそび八女市立福島小2年
末廣 悠眞くわがたをみた八女市立長峰小2年
山下 心はる川でカナヘビを見つけたよ八女市立福島小3年
城後 陽咲ねぇねぇ聞いて八女市立福島小3年
川原 楓愛田んぼの水はどこからきている?八女市立黒木西小5年
早田 朝陽美しい自然の中のこわさ輝翔館中等教育1年
請関 杏樹しあわせのランニング八女学院中1年
フラ 恵莉咲小さなことから未来は変わる吉吉富町外一市中学校組合立吉富中2年
原 光優小さな一歩が大きな一歩へ八女学院中3年
青木 愉慈海からおしえてもらったこと八女市立忠見小2年
岡 彩葉海と子がめと考える柳川市市立城内小4年
内藤 奨太ぼくの大好きなホタル八女市立黒木西小5年
倉原 那帆貝殻筑後市立西牟田小6年
宮本 昂明お父さんのエコバックみやまし市立高田小6年
若杉 菜々海色のイヤリング久留米市立城南中1年
野中 梨愛日常生活から気づいたこと輝翔館中等教育1年
中 愛花繋ぐバトン明光学園中2年
内田 琴菜環境保全の取り組み久留米市立筑邦西中2年
芳賀 正宗人々を救う大隈公園輝翔館中等教育2年
稲垣 心梅魚心あれば、八女学院中3年
平島 明果自然のすすめ輝翔館中等教育学校3年

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西日本さんご賞大賞

因果応報

八女市立黒木中2年 平島 愛梨

絵:猿渡 結

   僕は、薄暗い森の中にいた。あてもなく歩いていると小屋のような建物が見えた。近づいてみると食事処と書かれた看板があった。どうやら飲食店のようだ。ひどくお腹が空いていた僕は迷わず中へと入っていった。扉を開けると目の前に巨大な水槽があり、その中にはたくさんの魚達が優雅に泳いでいた。
「いらっしゃいませ。」
水槽の裏から女性が姿を現してこう説明した。
「ここは地球の海をコンセプトにしたお店でございます。本日のおすすめは〝人間からの贈り物、新鮮な魚の生き造り〟でございます。」
僕はすぐ何か食べたかったので女性がおすすめした料理を注文して、カウンターに座った。
「では、現在の海を再現するために調味料を水槽の中に入れていきます。まずは油、洗剤、工場排水、農薬をコップ一杯。次にプラスチック、ゴミ袋を少々。」
彼女はためらいもなくどんどん入れていった。すると中にいる魚達はピクピクッとけいれんしはじめ動かなくなっていった。次第に水の色がにごりだし、中の様子が見えなくなってしまった。僕はあ然とした。
「どうしてこんなことを…。」
彼女は無言で水槽の中から動かなくなった魚を取り出し手際よく捌いて盛り付け、僕の前に差し出した。その刺身はとてもおいしそうで思わずヨダレを垂らしてしまった。しかしさっきの光景を思い出すととても食べる気にはなれなかった。
「どうしてこんなことを…。」
「人間は有害物質を海に流し汚しています。食物連鎖で結局はその有害物質は人間も摂取していることになるのです。それを日本のことわざで因果応報というみたいですね。まあ海に限らず地上でも同じことが起こっていますが。いずれは自分がその毒を食らい、病に冒されるでしょう。」
僕はショックを受け涙が出てきた。
「一つ方法があります。この瓶には解毒してくれるバクテリアが入っています。しかしこの水槽を元に戻すには一週間かかるので待ってもらわないといけません。待ちますか?」
   魚がこうなってしまった原因は自分達にある。この魚を食べることで現実を受け止め、海を救おうと誓おう。海を救うことは自分達が安心して暮らせる世の中になることに繋がるはずだ。
「僕は…食べる!そして他の魚を救ってくれ。」
涙を拭い、刺身を一切れ口に入れようとした途端、急に周りが明るくなって思わず目を閉じた。
   再び目を開けるとそこは自分の部屋だった。僕は何が起こったのか状況が分からぬまましばらくぼう然としていた。昨日の夜、水質汚染について調べていたらいつの間にか眠ってしまったようだ。夢の内容を思い出し、考え込んだ。そして意を決して立ち上がり、僕はカーテンを勢いよく開けた。
挿絵 = 猿渡 結
みやま市在住 
水彩画を描きながらグラフィックデザイン、「あやかし屋」として、物づくり、イラスト等アート活動をしている。
【ホームページ】
https://fukuoka-ken-art-society.com/member/fas20103/

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西日本さんご賞大賞

うみのいきもの

福岡県 八女市立福島小学校二年生 塚原 諒

絵:橋本 恵子

  ぼくは魚がすき
うみの魚がすき
タイ、ヒラメ、ダツ、マグロ、アジ、サメ、カレイ、フグ、マンボウ、エイ、カサゴ、アンコウ、リュウグウノツカイ、ベラ、イサキ、カンパチ

  魚い外のうみの生きものもすき
イカ、タコ、エビ、カニ、イソギンチャク、ヒトデ、クラゲ、サンゴ、ウミウシ、プランクトン

  色もかたちもぜんぜんちがう
おもしろい色
おもしろいかたち
おもしろいうごき

  ぼくはうみのちかくにすみたい
うみのちかくにすんでまい日つりをしたい
どんな魚がつれるかな
大きい魚をつりたいな

  うみの生きものたちこれからもずっと
きれいなうみで生きていけますように

挿絵 = 橋本 恵子
佐賀県三養基郡みやき町在住
アートを通し、心の癒やしになればと描いている。
【ホームページ】
https://fukuoka-ken-art-society.com/member/fas20103/

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西日本新聞社賞

奪われたもの

八女学院中2年 有田 茜

絵:中園 唯(染色工芸)

   遠目に見ていました。森の奥深く、静かだった場所には木を切る音が響いていました。とても嫌な音だったけど、それを止めに行くことはできません。お母さんに、行ってはいけないと言われていたからです。木を切っている人間さんたちのところへ行ったら、銃で撃ち抜かれてしまうそうです。
   だから、その音が聞こえたら私たちは遠くに走ります。それが居場所を奪われる音なのに、何もできないまま走ります。それは生きていくうちに当たり前のことになりました。
   だけど、時々考えてしまいます。人間さんは私たちのすみかを奪っていくばかりで、私たちには何も返してはくれません。ただ奪われていくだけです。
   だから、それはちょっとずるいんじゃないかって思う時があります。損をするのは私たちばかりです。人間さんたちは私たちから奪うだけ奪っていく。
   だけど、私たちは受け入れるしかありません。
   ある時、あまりにもすみかがなくなってしまって、同じ熊と縄張り争いをすることになりました。頑張ったけど、私たちは負けてしまいました。だから、私たちのすみかはついに完全になくなってしまって、私たちは森を出て行かなきゃいけなくなりました。
   けれど、森以外に私たちの居場所はありません。森でずっと生きてきたのに、他の場所では餌のとり方も安心して寝る方法も分かりません。私たちはどうすればいいのか分かりませんでした。迷った私たちは、行くあてもなく森を離れて行きました。
   しばらく経って、私たちは家がいっぱい建っている場所を見つけました。よく目をこらすと、人間さんたちの姿が見えます。
   私は習慣的に逃げようとしたけど、お母さんは私を止めました。もう私たちに逃げる場所はないし、お母さんも私も体力が限界でした。それに、私たちから攻撃しなければ、もしかしたら人間さんも何もしないかもしれない。お母さんは行こうと言いました。
   私はそれに従って、人間さんたちのもとへ歩きました。もしかしたら、なんて淡い期待をもっていました。
   人間さんに近づこうとした時、ぱあん、と乾いた銃声が響きました。次の瞬間、前を歩いていたお母さんが地面に倒れました。
   何が起こったのか理解した時、私は頭に血が上りました。人間は何もしていないお母さんを撃ちました。私たちのすみかを奪うだけに飽き足らず、お母さんの命まで奪っていきました。私は撃った人間に襲いかかろうとしましたが、届くこともなく銃が私を打ち抜きました。
   ずるい。人間はずるい。私から全てを奪っていく。もし生まれ変わるなら人間にだけはなりませんように。

挿絵 = 中園 唯(染色工芸)
福岡県久留米市在住
1986年生まれ 久留米連合文化会会員 筑後市美術協会会員 ITOBAテキスタイル&ファイバーアートgrasp所属。染め、織りや刺繍等、染色技法をベースにした
http://nakazonoyui.tumblr.com

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福岡県知事賞

地球温だん化でメダカ危き

八女市立黒木西小5年 東 洵臣

絵:市丸 美波子

   ぼくは、メダカをかっています。毎日、えさをやって、メダカを見るのを楽しみにしています。メダカは入れる水そうによって体の色がかわることを最近知り、ますますきょうみを持ちました。
   そのメダカが卵を産んだときのことは今でも覚えています。とっても小さくて丸い、とうめいで少し黄色っぽい卵をたくさん見つけて、とてもうれしかったです。すぐに、別の容器に移しました。それから、卵がかえるのをわくわくしながら、毎日観察しました。十日くらいしたら、小さな赤ちゃんメダカが産まれました。ぼくはうれしくて、家族に教えました。少しずつ成長していくのが楽しみでした。
   しかし、ある日メダカが一匹死んでいるのを見つけました。びっくりしました。次の日も一匹死んでいました。その次の日は二匹死んでいました。ぼくはあわてて水かえをしました。だけどその次の日もどんどん死んでいきました。どうして死んでしまうのかインターネットで調べて、水そうの場所を変えたり、水を変えたりしました。何とかくい止めることができたけど、メダカが死んでいくのを見て、とても悲しかったです。
   たぶん、今年の夏があまりにも暑くて、メダカの水そうの温度が上がりすぎたせいだと思いました。毎日三分の一くらいかえるようにしました。新せんな水草も入れました。ぼくたち人間も、暑くてへとへとになっているのに、熱くなった水そうの中は、メダカたちは苦しかっただろうなと、ごめんなさいという気持ちになりました。ぼくは、メダカが死んだことで、地球温だん化がこわくなりました。だから、いろいろ調べてみました。暑い日が続くと、命が危なくなります。それに、気温が上がると、海から水がたくさんじょうはつして一度にたくさんの雨がふるそうです。すると、こう水がおこり、さいがいが起きます。暑すぎると、お米や野菜など、田んぼや畑で育てている食べものが、育たなくなってしまいます。他に、病気や伝せん病もふえるそうです。もっといろいろ地球にとって悪いえいきょうがあることがわかりました。
   ぼくは、「あついなあ。エアコンをつけよう。」とすぐ思ってしまうけど、これから地球温だん化をとめるためにぼくも考えて行動しなければいけないなと思いました。たとえば、ゴミをへらしたり、電気をこまめにけしたり、エアコンの温度をひかえめにすることです。
   今、メダカが元気に泳いでいるのでよかったです。ぼくたちも地球で元気にくらせるように、みんなが地球温だん化を考えるといいなと思いました。

挿絵 = 市丸 美波子
福岡県久留米市在住
久留米連合文化会美術部門デザイン部、福岡県美術協会デザイン部門、福岡県産業デザイン協議会会員。
https://www.ichimaru-design.jp

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うみまる賞

渡嘉敷島のサンゴ礁

沖縄県豊見城市立豊見城中2年 宮城 陽向

絵:宇美 拓哉

   私は、三年間渡嘉敷島に住んでいたことがあります。渡嘉敷島はとにかく海がきれいで、地域の人同士で仲が良くて、とても良い島でした。しかし、今渡嘉敷島でとても進んでいるサンゴの白化現象、私がこの問題について深く考えるようになったのは、昨年の夏の出来事です。
   昨年の夏、私達一年生十二人は学校の授業で海洋博研修を受けました。その学習では、国立沖縄青少年交流の家の方々が私達の地元である渡嘉敷島のサンゴについて、一日目はプレゼンテーションで、二日目は、実際に渡嘉敷島の沖のほうにでて、皆でシュノーケルをして、サンゴの白化が進んでいるところを見せてくれました。
   サンゴの白化が起こる原因として挙げられているのは、水温が三十℃を超える状態が長時間続き、褐虫藻に異変が起こる。つまり、地球温暖化が進んでいるということです。交流の家の方々は、それを私達に一生懸命に伝えてくれました。でも、その時の私は
「サンゴと私達は関係ないのに何で私達に伝えているんだろう。」
とばっかり思ってしまっていました。それで研修一日目は、何も考えないままで終わりました。
   研修二日目、私達は皆で船に乗り沖に出て、特に白化が進んでいるポイントまで行きました。そこで私が見たのは私の想像をはるかに超えた真っ白なサンゴでした。いつも私が海に遊びに行っているところのカラフルでたくさんの魚がいるサンゴとは真逆の色でした。その場所は魚も少なく、数少ない魚たちはあまり気持ちよさそうに泳いでいるようには見えませんでした。
   帰りの船で私は、このままサンゴの白化が進み、魚がいなくなってしまったらどうしよう。渡嘉敷島から、きれいな海が無くなってしまったらどうしよう。いつのまにか、そんなことばかり考えるようになってしまいました。
   私達にできることはないのか、サンゴや魚を守ってあげることはできないのか。私はインターネットで、調べてみました。節水、節電をする。買い物ではマイバックを持参する。家で植物を育てて緑を増やす。他にも私達にできることは数えきれないほどたくさんありました。
それから私は、手を洗う時に節水を心がけたり、エアコンや部屋の電気は使わない時にはきるようにしたりと頑張って心がけるようにしています。また、食品破棄による焼却処分など食品ロスにより、発生する温室効果ガスを防ぐために出された分は食べるようにするなど、小さなことだけど地球温暖化を防ぎ白化を抑えるために意識するようになりました。
皆の小さな心がけで、一ぴきでも多くの魚そしてサンゴを守られたらいいです。

挿絵 = 宇美 拓哉
福岡県八女市在住
日本美術連盟・水彩連盟会員、福岡県美術協会洋画部長等。第80回記念水彩連盟展文部科学大臣賞をはじめ美術展受賞歴多数。九州芸文館アカデミー講師の他、絵画教室や個展を多数開催。
https://fukuoka-ken-art-society.com/member/fas20103/

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八女市長賞

暑さは異常

輝翔館中等教育3年 江嶋 優乙

絵:近藤 日子

   熱が体全体から離れないこの夏。今日から、私が待ちわびていた夏休みだ。私の予定はほぼなし。とにかく宿題を終わらせて、夏祭りに行ったり、ゲームをしたり、と遊びたいのだ。
   夏休みが始まって一週間。私は思っていたよりブルーな顔をしていた。開始早々暑さに参って宿題に集中できなかったのだ。我が家では、なるべく地球環境に害を与えないために、冷房の使用は極力控えている。暑い時は、涼しい恰好をするのは勿論、扇風機、保冷剤を使用してなんとかしのいでいた。しかし、今年はその「暑さ」の勢力がより強まっており、私達の工夫では乗り切ることができないようだ。一度熱風に捕まったら、冷えるのに何十分もかかる。冷房を当たり前につけざるを得ない夏となった。
   それから一週間後。この日は、夏の名物とも言える、市内では有名な夏祭りの日だ。大通りも歩行者天国になり、ダンスや太鼓などさまざまなショーが行われる。歩道には、屋台がずらりと立ち並び、来場者は四十万人以上にもなるお祭りだ。私は、昨年も一昨年も行けなかったため、今年は行きたくてたまらなかった。習い事帰り、私はやっと、この祭りへ行くことができた。その日は夕方にも関わらず、太陽がサンサンと降り注いでいた。会場に到着して約十分。私は既に暑さでバテていた。うちわで扇げば熱風が来て、冷茶の癒やしは喉で消えた。そうして、約十分屋台を見て歩いては五分休憩を繰り返さなければならないほどになった。屋台を見て歩くのも、汗による気持ち悪さに気を取られてしまう。念願のお祭りだったが、帰る時には、「楽しかったー!」ではなく「早く冷房環境に行きたい!」という気持ちでいっぱいだった。
   近年世の中の夏は、人間が想像する以上の猛暑を感じさせる。それに対して人間は、電化製品ですぐ対応する。電化製品に頼ってしまえば、暑さ知らずで生活できると言っても過言ではない。しかし、電化製品を使うがために世界はもっと熱で覆われるのだ。もしかすると、屋外での催し物がなくなったり、雪が降ることが珍しいとされたりする世界が来るかもしれない。人間は楽な方に執着してしまう悪癖がある。環境保全のため、レジ袋の利用を控える政策が進んだ際も、多くの人が反対の声を上げ、各ニュースでその話題は大きく取り上げられていた。だが、癖は努力すると直るのが良い所で、この政策も実行してみると、意外と定着した。このように、人間の悪癖は直せることを信じて、社会全体で、「寒暖調節の電化製品を使用する前に、他の物で対応できるか考えてみましょう。」といったような取り組みを行っていくべきだと思った。この気候は異常だと皆が理解しているからこそ、何か取り組めるはずだと私は考える。
挿絵 = 近藤 日子
福岡県大川市在住
二人で絵画教室アトリエSUNCHAを開いている ※ご夫婦です  近藤日子;西部水彩画協会会員 個展や絵画展で活躍。絵本や紙芝居など様々な技法を使って制作。 矢沢自明:抽象的平面作品を制作。個展やグループ展で発表している。
https://room.suncha.jp

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八女市議会議長賞

きれいな世界に

八女市立福島小6年 服部 凌万

絵:矢沢 自明

   僕は、高い空にいる大きくて白い雲。今もみんなの亡くなったおじいちゃん、おばあちゃんをのせて、みんなを見守りながら、青い空をぼうけんしている。今は八女市のお空にいるけど、昔は北九州市にいたんだ。
   一九六○年ごろの北九州市は、住みにくい場所だった。洞海湾というところは、とてもくさく、にごっていて、魚の住めない「死の海」だった。空は工場から出たけむりにおおわれていて、みんなを見守ることはできなくなった。
   ただ、何も見えない僕は、工場の音、車の騒音、みんながせきをする三つの音しか聞こえなかった。だから僕は、亡くなった人達を守るために、緑豊かな八女市へと移動した。仲良しだった友達は、
「汚れていても北九州市にいたい。」
と言って北九州市の空に残った。
   それから三十年くらいたったころ。友達が八女市の空に遊びにきた。友達は、僕に、
「ねえねえ、北九州市の前の空は、人の活動によって引き起こされる、人の健康や環境に被害がでる公害というので汚れていたんだ。でも、市民や企業、行政が協力をして、みんなが住みやすい環境をつくることに努力したんだ。今では、青い空と魚が戻った洞海湾があるよ。僕はもう帰るけど、たまに遊びにきてね。」
と言って帰っていった。
   僕は、たまに、友達に会いに北九州市にいくけど前とは変わっていて、
山も川も海もとてもきれいになっていた。みんなが笑顔で暮らしていた。それを見て、僕の背に乗っているみんなの亡くなった家族も笑顔にな
った。僕は、この笑顔がずっと続きますようにと願った。
   環境をこわしている原因は人間にあるけど、環境を取り戻すことがで
きるのも人間。一人一人が環境問題を考えて、行動することがみんなの
笑顔を守ることにつながるんだ。

挿絵 = 矢沢 自明
福岡県大川市在住
二人で絵画教室アトリエSUNCHAを開いている ※ご夫婦です  近藤日子;西部水彩画協会会員 個展や絵画展で活躍。絵本や紙芝居など様々な技法を使って制作。 矢沢自明:抽象的平面作品を制作。個展やグループ展で発表している。
https://room.suncha.jp

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八女市教育長賞

地球さんへ

八女市立川崎小2年 伊東 陽誠

絵:蓮尾 睦子

地球さん、元気ですか。
ぼくは、元気です。夏休みに入って、毎日とてもあついです。
地球さんは、あついですか。
海や川は、きれいですか。
森や林のみどりは、たくさんありますか。
どうぶつたちは、みんな元気ですか。
地球さんは、今の地球がすきですか。

ぼくの家はしぜんにかこまれています。
家の前には、大きな山ときれいな川があります。
山にはさくらやもみじがあって、きせつによって色とりどりになります。
川には小さな魚がおよいでいます。
夏にはホタルやクワガタがとんできます。
夜は空いっぱいの星がきらきらかがやいています。
ぼくは、ぼくのすんでいる所が大すきです。

本に、「地球があぶない」と書いてありました。海や水や空気がよごれているとくるしいよね。このままだと地球さんは、今の地球をすきになれないよね。

ぼくは自分にできることを考えてみたよ。
水や電気やもののむだづかいをしない。
おちているごみをひろう。
近い所には歩いて行く。
正しいことをしる。
さいしょは小さな力でも、みんなできょう力すれば、大きな力になると思います。

地球さん、これからも元気な地球でいてね。
そして、これからの地球のことをすきになってね。
地球のことがすきなぼくより。

挿絵 = 蓮尾 睦子
福岡県久留米市在住

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久留米市長賞

分類の達人

久留米市立城南中1年 岡村 陽依

絵:田中 貴久子

    「それは資源ごみ。燃やせるごみじゃないよ。」
お菓子の袋をごみ箱に捨てようとしたときに、祖母から言われた言葉です。私はただのごみだと思っていたのですが、資源ごみと聞いておどろきました。
「資源ごみになるか分からないときや迷うときは、私もこれを見て確認しているよ。」
と祖母から久留米市のごみ分類辞典という冊子を渡されました。その中には、お菓子の袋等は外袋の後ろにプラスチックのマークがある、汚れやにおいがついていない物に限って、容器包装プラスチックの分類で資源ごみになるとのことでした。その後お菓子を食べるときはプラマークを探すようになり、お菓子の袋はほとんどにプラマークがあることに気づきました。また家の中を確認すると、燃やせるごみ、燃やせないごみ、空ビン、空缶、ペットボトル、古紙・布類等細かく分類されていました。これらが一般ごみとして破きされると考えたらゾッとしました。
    しかし、私は几帳面な性格ではなく、ゴミを細かく分類するのはめんどくさいなと感じました。そこで、ごみを分別しなかったらどうなるか考えました。ごみを分別しないということは、一般ごみが増えます。それはごみを焼却するときやごみ収集車が走ることによって二酸化炭素が発生するため、地球温暖化につながります。資源ごみはそれぞれ新しい製品や素材の原料に再利用されるため、資源ごみを一般ごみとして捨てると、リサイクルできず限られた資源を有効活用できないということです。つまりごみを分別することは地球を守ることにつながります。
    生活をする中でごみを全く出さないのは不可能です。そこでごみを減らすことが大切になります。ごみの分類をしてリサイクルできるものを増やしていく必要があります。そこで私にもできることを考えました。ごみ分類辞典の後ろに「ごみの分け出し方五十音表を参照」という項目があるので、それを見ながらごみ分類の達人になりたいと思いました。その中にホッチキスの芯やプランターの土等も記さいされており、生活する中で出るごみは、分類できると思います。
    また、ごみを減らすために、外出するときには水筒を持ち歩く、マイバックを用意する、フードロスを減らす、使い捨てのものをなるべく使用しない、壊れたものは修理して長く使う等、できることは多くあります。一人一人が興味を持って、意識を持って取り組むことが大切です。これらを意識して、小さなことから少しずつ取り組んでいけたらいいなと思いました。

挿絵 = 田中 貴久子
福岡県小郡市在住 久留米連合文化会、福岡県美術協会デザイン部所属。 
https://fukuoka-ken-art-society.com/member/fas20103/

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久留米市教育長賞

環境問題

久留米市立筑邦西中1年 田中 蒼

絵:垣外波瑠香

   僕のおじいちゃんとおばあちゃんは大分県にある小さな島に住んでいます。お正月やお盆休みには毎年島に帰っています。海や山自然がたくさんあるきれいな島です。魚つりをしたり、山に登ったりぼくはこの島であそぶのが大好きです。何年も前、島に埋め立ての計画ができました。きれいな島の海を廃棄物で埋めてしまうその計画にぼくのおじいちゃんとおばあちゃんは大きく反対しました。きれいな海を守る為に何年もかけて島の人たちと反対運動をしました。署名を集めたり、いろんな地域でおこっている埋め立て問題についても、たくさん勉強しました。この反対運動に賛同してくれる議員さんに出会って、一緒に反対運動を続けました。十年以上続けた反対運動は、最終的に裁判で決まりました。反対運動をおこした人達が勝利し、海は守られました。
   もし、僕のおじいちゃん達が反対運動をおこしていなかったら、廃棄物を埋め立てたことによって海はよごれ、魚のいない島になっていたかもしれない。海で泳ぐことも出来なくなっていたかもしれない。僕が今でも島で魚つりをしたり、泳いだり出来ているのはおじいちゃん達ががんばってくれたおかげだと思います。でも僕は、ふと思いました。埋め立てられなかった廃棄物は一体どこへ行ったんだろう。廃棄物を消すことは絶対に出来ない。おじいちゃん達が住む島以外の場所に埋め立てられるのではないだろうか。そう考えるととても難しい問題だと思いました。問題解決するには少しでも廃棄物やゴミを減らしていくことと再利用出来る物を増やすことだと思いました。
   環境問題は、おじいちゃん達が住んでいる小さな島でもおきています。こういう問題が日本中、世界中でおこり地球はどんどんよごれて温暖化が進んでいます。
   僕はサッカーをしています。このまま地球の温暖化が進めば夏の昼間に外でサッカーの試合をすることが出来なくなるかもしれない。毎年、熱中症ではこばれている人も増えてきています。
   僕のおじいちゃん達が十年以上の月日をかけて、島の美しい海を守ったように、僕たちもそろそろ本気で地球の環境問題に向き合う時がきていると思います。まずは、僕に出来る小さなことから始めて、それを続けること、おじいちゃんたちがしたように賛同する仲間を作り、みんなで問題に向き合っていきたいと思います。

挿絵 = 垣外波瑠香
福岡県久留米市在住

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みやま市長賞

ニホンウナギと竹林伐採の関わり

みやま市立清水小6年 山城 文乃

絵:陶山高義

   私が住むみやま市は、自治体として全国初の「ワンヘルス宣言」を行っています。私は、昨年の山門高校オープンキャンパスでoneヘルスクラブとニホンウナギに出会い、それ以来、飯江川の魚類調査やウナギの稚魚を放流したり飯江川上流百年の森の竹林伐採をしたり、ボランティア活動をしています。
   今までの調査で、飯江川はウナギの稚魚を放流すれば育つことができる環境があることが分かっています。しかし、飯江川には、たくさんの可動ぜきがあるため、ウナギは海と川の移動ができません。可動ぜきをなくせば、飯江川で育ったウナギは、海へ卵を産みに戻ることができ、海で産まれた卵が成長しながら日本の海へたどり着くことができます。可動ぜきは、大雨の災害から人の命を守るため、農業用水の確保のために必要なものです。上流の森の保水力を高めるために、森林のダムは大切な役割があるのです。このダムが復活すれば、可動ぜきをなくすことができます。
   モウソウチクの根は、浅く横に伸びていて、成長に山の栄養を使うため土じょうがやせ、大雨になると土砂崩れが起きやすくなります。私達は、飯江川に栄養豊かな水が流れてくるように、飯江川上流百年の森の竹林を伐採しています。清水山では、森のようせいギンリュウソウや土じょう作りをする大きなミミズも生息していました。山の森の恵みが、ウナギの成長につながっています。山の生態系や私達の暮らしを支えるのも、山の森が作った水なのです。全てはoneヘルスです。
   ニホンウナギは、海(西マリアナ海れい)で、六月の新月の晩に卵を産み、ふ化したウナギ(レプトケファルス)は、海流にのり成長しながら日本にやってきます。日本にたどり着いたウナギは、川や池などで五年から十五年ぐらいで大人のウナギになり、また卵を産みに海へ戻ると言われています。ですが、ニホンウナギの寝床があり、竹林を伐採したりして、もっとたくさんの山の森の恵みが飯江川に流れてきて、たくさんの栄養がたまれば、ニホンウナギは、川で産まれ、川で育ち、川で卵を産むという日が来るかもしれません。これからも、ウナギの稚魚の放流や竹林の伐採などの活動を続けていきたいと思います。

挿絵 = 陶山高義
福岡県八女市在住

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みやま市教育長賞

サワガニと僕

みやま市立瀬高中2年 末吉 栄達

絵:藤井芳裕

   僕の住む街には清水山という山がある。森や小さな沢がたくさんある自然豊かな山だ。五月初めの頃になるとこの山にはサワガニが現れる。僕は幼い頃からサワガニが大好きだ。
   この時期になると僕はこの山に連れて行ってもらう。帽子を被ってかごを持って。もちろんサワガニを見つけにいくためだ。
   車を走らせること十分。僕達は山の途中にある湧き水が出ている場所にたどり着いた。僕はサワガニを見つける時は必ずここに来る。小さな沢だが水が澄んでサワガニがたくさんいる。近くは人があまり通らないので思う存分サワガニを楽しむことができる。
   まず僕はサワガニがいそうな所を見つけるため、沢の周りを回ってみた。すると僕の手のひらよりも少し大きいくらいの石を見つけた。サワガニは石の下などの暗い場所に身を隠しやすい。ここならサワガニが居るかもしれない。直感的にそう思った。
「あっ。」
思わず声が出た。石の下、澄んだ水の中に真っ赤な甲羅のサワガニ。とてもキラキラしている。興奮を落ち着かせて、僕はゆっくり石を持ち上げ、サワガニが驚いて逃げないようにしずかにしずかに手を入れ、そっとサワガニをつかんだ。そして素早くかごのなかに入れる。ふー、よかった。僕はほっとした。かごの中でサワガニが元気よく動きまわっている。改めてサワガニを見てみる。大きなハサミに大きな眼。絵の具では出せない真っ赤な甲羅。十分に眺めた後、サワガニは水の中へとかえした。
   最近、沢にいるサワガニの数が少なくなってきているように感じる。サワガニは水のきれいな場所にしかいない。サワガニが減ってきたということは水が汚くなってきているのかもしれない。ぼくはこの川にいるサワガニを守らないといけない、そう思った。
「あっ!カニいたよ!」
妹がそう叫んだ。僕は走って妹のところに向かっていた。

挿絵 = 藤井芳裕
福岡県大牟田市在住
切り絵を始めて50年。「ばんこ会」所属
年に一度作品展を開催

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柳川市長賞

ほたる

柳川市立豊原小1年 大橋 彩楓

絵:吉本暢子

   わたしは、ほたるがだいすきです。ほたるは、ちいさくてかわいいです。はじめてほたるをみたとき、おしりがひかってとんでいるすがたをみて、とてもきれいで、すごくかんどうしました。ほたるをみつけることができたときは、とてもうれしいです。でもことしは、そのほたるをみれたところへはいけませんでした。りゆうは、わたしがみにいったあと、おおあめがふって、かわがくずれて、ほたるがみれなくなったからです。わたしは、おかあさんから、ちきゅうかんきょうのへんかで、おおあめがふえて、そのせいでたくさんのほたるたちがながされ、かずがへっていることや、むかしはほたるのすむばしょがたくさんあって、ちかくのかわやたんぼでもみることができていたけれど、いまはとおくのやまのなかにいかないとみれないというはなしをききました。わたしは、ちきゅうかんきょうがかわって、ほたるのかずやみられるばしょがすくなくなるのはかなしいです。
   ほたるは、かわやたんぼなどのみずがきれいなばしょにいます。わたしがほたるだったら、きれいなみずがあって、たんぼやおおきいやまやかわ、ひろいもりのなかで、たくさんのさかなやかえるなどのいきものとなかよくくらせるばしょにすみたいです。
わたしは、ちきゅうかんきょうをよくして、ほたるのかずをふやすために、みずをむだずかいしないことや、もりをたいせつにしたり、でんきなどむだづかいをしないことなどをがんばろうとおもいます。
ほたるのすむかわのちかくのしょうがくせいは、ほたるのあかちゃんをかわにほうりゅうしているとききました。わたしも、いっしょにさんかできたらうれしいです。そして、たくさんのほたるをかんさつしたいです。

挿絵 = 吉本暢子
福岡県久留米市在住
久留米連合文化会、日本グラフィックデザイナー協会、福岡県美術協会会員等。九州大谷短大情報機器論非常勤講師他。
https://www.instagram.com/nobuart

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柳川市教育長賞

海洋汚染

柳川市立皿垣小6年 浦 希乃葉

絵:坂田愛

   私の家は有明海の近くで、家の裏には、船着き場がある。船着き場は静かで、車があまり通らないから、散歩をすることがある。散歩をしていると、ペットボトルや、人が使った後のいろいろなゴミがぷかぷかと浮いている。それで私は、なんでこんなに、ゴミが落ちているんだろうと不思議に思った。
   今年、私はキャンプに行った。キャンプ場にも、小さな川が流れていて、川遊びをしたが、水は、キラキラと光っていて、ゴミも落ちてなかった。後から、その川は、家の裏の川とつながっていることを教えてもらって、びっくりした。
   キャンプ場まで車で四十分の距離、その間で、どれほどのゴミが、川に捨てられているのかなと、悲しくなった。
ペットボトルなどのゴミが、家の裏の、川を通りすぎてしまうと、海に流れて行ってしまう。川は、一本じゃない。たくさんある川から、海に全部のゴミが流れつくと思うと、海には、どれくらいのゴミがたまっていくのだろうかと思ってしまう。
海洋ゴミは、年々増え続けて、このままでは、二千五十年には、海洋に住む魚などの生物よりも、ゴミのほうが多くなるといわれていると、テレビで見た。
海洋汚染が及ぼす影響は、いくつか挙げられる。
一つ目は、多くの生物の住む家が、減少して、生態系のバランスが崩れること。
二つ目は、海洋に発生したプラスチックごみが、温室効果ガスを発生させて、地球温暖化を加速させること。
   三つ目は、マイクロプラスチックを食べた魚を、私たちが食べることによって、私たちもマイクロプラスチックを取り込んで健康被害を及ぼす可能性があることだ。
どれも私たちの生活に深く関わることばかりなのだ。海は広すぎて、全部のゴミを、なくすことはできないけれど、海に流れ込む前の川だったら、みんなで協力してごみを拾うことも、できると思う。
私たち自身が環境を壊しているということにきちんと向き合って、生活をしていかないと、二○五○年なんて、後二十五年後の事だ。自分たちも、生物も、住みやすい環境を作るために行動しないといけないと思う。
キャンプ場のようなキラキラとした、川を目指して、ポイ捨てをしないで、周りにも声掛けをしていきたい。自分が行動することで周りの人にもその気持ちや行動が伝染していけば、みんなが暮らしやすい未来につながっていく。

挿絵 = 坂田愛
福岡県八女市在住

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福岡県八女森林組合長賞

矢部村の自然を守るためにわたしたちができること

八女市立矢部清流学園小5年 栗原 愛佳

絵:土田友唯

   わたしの通う矢部清流学園では、矢部でしかできない学習があります。
それは、森林保全のための体験学習です。一、二年生は植林体験。三、四年生は枝打ち(杉の木の枝を切り落とす)体験。五、六年生は下草刈り(杉の木の下に生えている草を刈る)体験です。わたしたちに教えてくださるのは、地元の森林組合の方と、愛林クラブの方です。わかりやすく教えてくださいます。とても頼もしい先生です。
一、二年生のころは、急ながけを下り、小さな苗木を石がごろごろある固い地面にあなをほって、ていねいに植えていきます。冬に行ったので、雪が積もっていて、寒かったことを覚えています。五、六十年すると、この小さな苗木が周りにある大きな木と同じ大きさになると、教えていただきました。
   三、四年生では、のこぎりを使って杉の枝を切り落とす枝打ちをしました。森の中はうすぐらく、道にはかれ葉が落ちていて、少しこわかったです。重いのこぎりを動かして枝を切り落とすのですが、うでがいたいし、木のかすが上からふってきて、目にごみが入るので、大変でした。しかし、森林組合の方たちは、一発で枝を切り落とされます。びっくりしました。みんなでもくもくと枝を切り落とすと、はじめはうすぐらかったのがうそのように明るくなりました。木の間から太陽を見たときには、つかれが飛んでいくようでした。
   五、六年生は下草かりです。今年初めて下草かりをしました。そこは、なんとわたしたちが一、二年生のころに植林した場所でした。わたしの身長の半分くらいの大きさだった苗木が今の私と同じくらいの高さまで、大きく育っていました。あのときの苗木が、こんなに大きく育ってくれていることがすごくうれしかったです。これからますます大きくなっていくのが、楽しみになりました。がけの下から上に向かって、かまを使ってかります。かるこつは、いねかりのように草を左手で持って、右手に持っているかまを手前に引くことです。一番むずかしかったのは、「かや」でした。一本のみきが太いこと、同じ場所からたくさん束になって生えていることからでした。わたしは、こつこつ一本ずつかっていきました。かり終わったら、下から見わたせるようになりました。
   毎年、内容はちがうけれど、すべて矢部村のゆたかな自然を守ることにつながっているのかなあと思います。来年までしか体験できないので、来年の下草かりも一生けん命がんばりたいです。これからも大自然の矢部村に住み続けられるように、ゴミを捨てることは絶対にしません。矢部村のみりょくがずっと「きれいな自然」であってほしいです。

挿絵 = 土田友唯
福岡県久留米市在住
愛媛県出身
尾道市立大学美術科卒業

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福岡八女農業協同組合長賞

もうへばらせない!

八女学院中3年 緒方 美咲

絵:豊増彩華

   「あついなぁ。」
じっちゃんは、私に形の歪んだナスを渡しながらそう言った。
「…これ、出荷できないじゃん。」
「そうだなぁ。最近、こんなのばっかりできちゃってほんとに気候変動ってのは困ったもんだよ。」
じっちゃんは、農家で私はよく収穫のお手伝いをしている。だけど、今年はなかなかいいお野菜がとれない。
「昔は、こんなに暑くなかったのになぁ、おかげでオレも野菜もへばっちゃって。」
「たしかに、あつすぎるねぇ。」
「ちょっと休憩しようか。」
「うん。」
   家に帰ると、涼しい風が出迎えてくれた。
(あれ、また冷房つけっぱなしじゃん。でも涼しいし、まぁいっか。)
そんなことを思いながら、すずしい部屋でぼうっとしていると、じっちゃんがむぎ茶とアイスを持ってきてくれた。
「ん?この部屋すずしすぎないか。」
そう言われて焦る。やばい、電気代のこと忘れてた…。怒られちゃう。
「ごめん。エアコン止めるの忘れちゃって。」
じっちゃんは私をじっと見つめて、喩ように言った。
「お前は、気候変動の原因が何か知っているのか。」
「え、知らないけど…。ちょっと待って。」
私はスマホを出して、「気候変動、原因」と入力した。すると、どんどん出てくる。
「えっと、気候変動の主な原因は、人間活動による温室効果ガスの増加、です。」
「そうだな。つまり、エアコンを使用するとき、その電気を作るときにも、温室効果ガスは発生するんだ。オレの言いたいこと、わかるか。」
「…うん。」
私は恥ずかしかった。じっちゃんを困らせている気候変動を自分が進行させているなんて思いもしなかった。あのナスの形が悪い原因の一つに私がなってしまっているのが申し訳なかった。
「ごめん、なさい。今度から気をつけます。それと、他にも何か原因になることやってないか探してみる…。」
「気づけたなら、いいんだよ。これからはもっと元気な野菜たちを育てられるように一緒に考えて生活していこう。」
「うん!。」
   それから私は、電気や水の節約を始めた。これ以上、じっちゃんや野
菜をへばらせないためにも、自分にできることを少しでも多くやっていこうと思う。
   形の歪んだナスがキラリと輝いた気がした。

挿絵 = 豊増彩華
佐賀県鳥栖市在住
学生向けグローバルアートイベント「Red Bull Doodle Art2017]世界チャンピオン
https://fukuoka-ken-art-society.com/member/fas20103/

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矢部川漁業協同組合長賞

スマホを置いて

輝翔館中等教育中2年 松本 幸陽

絵:坂田美雪

   中学生になって僕はバス通学を始めました。本を読んでいる人もいるけれど、ずっとスマホを見ている人も多いです。学校ではスマホを持っていないことを馬鹿にされたこともありました。スポーツクラブの合宿で、スマホを持っているメンバーはずっとゲームをしていることもありました。ゲームをしてみたい気持ちもあるけど、スマホをずっと見ているのは良くない、というイメージも持っていました。そんなある日、僕が通学バスを乗り過ごすという事件が発生しました。僕が親と連絡が取れずに困ることがおき、とうとう僕もスマホを使うことになりました。スマホを初めて持って、みんなと同じだという事がうれしかったのを覚えています。学校の友達と帰宅後も連絡を取ったり、部活の先輩が「練習後にご飯食べよう。」と誘ってくれたり、テスト前にテスト範囲をクラスメイトに確認できた時は、「なんて便利なんだろう。」と思いました。
スマホをずっと観ていて、両親に注意されることもありました。スマホを持つ前に「ちょっと嫌だな。」と思っていたことをやっているなと考えたこともあったけど、どうすればスマホを使わないでいれるか分かりませんでした。
   この夏、僕は八月十一日をどんなに心待ちしていたか分かりません。所属するラグビーのクラブチームで出場した九州大会、順調に勝ち進んでいた最後の決勝であっさり敗れてがっかりしていた僕に、クラブのメンバーからラインのメッセージが届きました。
「今度ひまな人海行こう。」
この言葉を聞いた途端、僕のがっかりした気持ちはさっぱり消えました。そして当日。久しぶりの海に朝から夕方まで、お昼の休憩以外はずっと海の中で過ごしました。浜辺ではブロンロ、海の中ではタッチフッド。眩しすぎる日差しも、クラゲに刺されても、海での一日は楽しすぎました。
   海で過ごした日、スマホはずっとカバンに入れたままでした。どうして触らないでいられたのか考えてみました。友達も一緒だったという事、海が楽しすぎて途中の景色も見ていたいと思ったこと、などが考えられました。
   自然の中で遊ぶ機会はたくさんあるわけではありません。ただ僕の回りにも自然はあります。自宅前の公園、近くの学校には大きなクスノキがあるし、ラジオ体操をやっていた公民館の夏の朝はセミの声でうるさいです。毎日通う中学校は山の中で、なかなかの景色です。毎日過ごす場所は見過ごしがちだけど一度周りを見てみればなじみの景色が目に入ってきて気持ちが落ち着きます。みなさんもたまにスマホを置いて出かけてみてはどうですか。

挿絵 = 坂田美雪
福岡県八女市在住

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