2024年度本部 受賞作品

テーマは環境問題、2024年応募総数3448。

最終選考委員メンバー (10人)(敬称略)

  • 安部 龍太郎(小説家)
  • 荻原 浩(小説家)
  • 川井 郁子(ヴァイオリニスト・作曲家)
  • 湊 芳之(株式会社 エーエスシー)
  • 田中 章義(日本の歌人・作家)
  • 幅 武志(潮出版社)
  • 岩崎 幸一郎(潮出版社)
  • 福島広司(幻冬舎)
  • 木田 明理(幻冬舎)
  • 森 敏彦(一般社団法人水のもり文化プロジェクト)

受賞作品

安部龍太郎賞

氏名作品名所属
平島 愛梨因果応報八女市立黒木中学校2年
(八女実行委員会)

荻原浩賞

氏名作品名所属
有田 茜奪われたもの八女学院中学校2年
(八女実行委員会)

川井郁子賞

氏名作品名所属
小林 律仁「当たり前」の未来を目指して大森第六中学校2年
(おおた実行委員会)

田中章義賞

氏名作品名所属
中川 陽葵ねっこのパワー! いのちをつなぐしょくぶつたち立山町立山中央小学校1年
(富山実行委員会)

彩雲賞

氏名作品名所属
川上 礼ぼくのすむまち、びせい井原市立美星小学校1年
(高梁川実行委員会)

潮出版社賞

氏名作品名所属
渡邉 奏介もう二度と会えない君へ倉敷市立菅生小学校4年
(高梁川実行委員会)

幻冬舎賞

氏名作品名所属
丸山 泰生地球温暖化による蚊と私の戦い大森第六中学校3年
(おおた実行委員会)

Activeさんご賞

氏名作品名所属
中村 多恵ゴミ拾いから気づいた事倉敷市立葦高小学校5年
(高梁川実行委員会)

選考委員会特別賞

氏名作品名所属
外山 禮兜山のおくりもの都城市立明和小学校4年
(都城実行委員会)

選考委員会特別賞

氏名作品名所属
森谷 陶人「強い命、弱い命」静岡サレジオ小学校5年
(静岡実行委員会)

奨励賞

氏名作品名所属
廣江 初菜あふれるゴミからあふれる植物へ馬込小学校6年
(おおた実行委員会)
隂山 泰平カブトムシの森世田谷区立尾山台小学校1年
(おおた実行委員会)
平岡 治子山の中で感じたこと雪谷中学校2年
(おおた実行委員会)
川瀨 元二酸化炭素と交通大森第六中学校2年
(おおた実行委員会)
島田 結愛地球さんのおそうしき富士宮市立富士宮第一中学校3年
(静岡実行委員会)
岡崎 右京人間がぜつめつきぐしゅにならないように静岡サレジオ小学校4年
(静岡実行委員会)
新井 夢菜水と虫にもありがとう菊川市立堀之内小学校1年
(静岡実行委員会)
坂本 唯愛守るべきもの御前崎中学校3年
(静岡実行委員会)
山下 瑚夏持つべきもの富士市立吉原第三中学校3年
(静岡実行委員会)
磯辺 悠花きっかけ南砺市井波中学校2年
(富山実行委員会)
平田 蒼葉なにができる倉敷市立倉敷南小学校5年
(高梁川実行委員会)
藤村 明梨母の小言岡山理科大学附属中学校2年
(高梁川実行委員会)
藤間 美和私達がトップにいる理由井原市立井原中学校3年
(高梁川実行委員会)
井上 笑凜子かぞくりょこう倉敷市立水島小学校1年
(高梁川実行委員会)
城後 陽咲ねぇねぇ聞いて八女市立福島小学校3年
(八女実行委員会)
フラ 恵莉咲小さなことから未来は変わる吉富町外一市中学校組合立吉富中学校2年
(八女実行委員会)
末吉 栄達サワガニと僕みやま市立瀬高中学校2年
(八女実行委員会)
盛武 怜生環境保護と環境ビジネス鵬翔中学校3年
(都城実行委員会)
石山 明依海奈ちゃんの大冒険鵬翔中学校1年
(都城実行委員会)
鬼塚 奏音もったいないを考えよう鵬翔中学校2年
(都城実行委員会)

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安部龍太郎賞

「因果応報」

八女市立黒木中学校2年 平島 愛梨

画:猿渡 結

  僕は、薄暗い森の中にいた。あてもなく歩いていると小屋のような建物が見えた。近づいてみると食事処と書かれた看板があった。どうやら飲食店のようだ。ひどくお腹が空いていた僕は迷わず中へと入っていった。扉を開けると目の前に巨大な水槽があり、その中にはたくさんの魚達が優雅に泳いでいた。
「いらっしゃいませ。」
水槽の裏から女性が姿を現してこう説明した。
「ここは地球の海をコンセプトにしたお店でございます。本日のおすすめは〝人間からの贈り物、新鮮な魚の生き造り〟でございます。」 僕はすぐ何か食べたかったので女性がおすすめした料理を注文して、カウンターに座った。 「では、現在の海を再現するために調味料を水槽の中に入れていきます。まずは油、洗剤、工場排水、農薬をコップ一杯。次にプ ラスチック、ゴミ袋を少々。」
彼女はためらいもなくどんどん入れていった。すると中にいる魚達はピクピクッとけいれんしはじめ動かなくなっていった。次第に水の色がにごりだし、中の様子が見えなくなってしまった。僕はあ然とした。
「どうしてこんなことを…。」
彼女は無言で水槽の中から動かなくなった魚を取り出し手際よく捌いて盛り付け、僕の前に差し出した。その刺身はとてもおいしそうで思わずヨダレを垂らしてしまった。しかしさっきの光景を思い出すととても食べる気にはなれなかった。
「どうしてこんなことを…。」
「人間は有害物質を海に流し汚しています。食物連鎖で結局はその有害物質は人間も摂取していることになるのです。それを日本のことわざで因果応報というみたいですね。まあ海に限らず地上でも同じことが起こっていますが。いずれは自分がその毒を食らい、病に冒されるでしょう。」 僕はショックを受け涙が出てきた。
「一つ方法があります。この瓶には解毒してくれるバクテリアが入っています。しかしこの水槽を元に戻すには一週間かかるので待ってもらわないといけません。待ちますか?」
魚がこうなってしまった原因は自分達にある。この魚を食べることで現実を受け止め、海を救おうと誓おう。海を救うことは自分達が安心して暮らせる世の中になることに繋がるはずだ。
「僕は…食べる!そして他の魚を救ってくれ。」
涙を拭い、刺身を一切れ口に入れようとした途端、急に周りが明るくなって思わず目を閉じた。
   再び目を開けるとそこは自分の部屋だった。僕は何が起こったのか状況が分からぬまましばらくぼう然としていた。昨日の夜、水質汚染について調べていたらいつの間にか眠ってしまったようだ。夢の内容を思い出し、考え込んだ。そして意を決して立ち上がり、僕はカーテンを勢いよく開けた。
  一読して驚いた。こんなに質の高い作品は、今までになかったと思う。しかも最終候補作の一作目に読んだものだから、今年は豊年満作であろうと勇み立った。十人の選考委員全員が五点満点をつけたのも、初めてのことだった。
  しかし私は安部賞にすることをためらった。誰もが認める作品なのだから、推す人は他にもいると遠慮したのである。ところが皆さんは奥ゆかしく譲り合い、それでは委員長にということになった。
  平島さん、素晴らしい。おめでとう。
挿絵 = 中園 唯
福岡県みやま市在住
福岡県美術協会デザイン部会員
久留米連合文化会デザイン部会員

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荻原浩賞

「奪われたもの」

八女学院中学校2年 有田 茜

画:中園 唯

  遠目に見ていました。森の奥深く、静かだった場所には木を切る音が響いていました。とても嫌な音だったけど、それを止めに行くことはできません。お母さんに、行ってはいけないと言われていたからです。木を切っている人間さんたちのところへ行ったら、銃で撃ち抜かれてしまうそうです。
  だから、その音が聞こえたら私たちは遠くに走ります。それが居場所を奪われる音なのに、何もできないまま走ります。それは生きていくうちに当たり前のことになりました。
  だけど、時々考えてしまいます。人間さんは私たちのすみかを奪っていくばかりで、私たちには何も返してはくれません。ただ奪われていくだけです。
  だから、それはちょっとずるいんじゃないかって思う時があります。損をするのは私たちばかりです。人間さんたちは私たちから奪うだけ奪っていく。
  だけど、私たちは受け入れるしかありません。
  だある時、あまりにもすみかがなくなってしまって、同じ熊と縄張り争いをすることになりました。頑張ったけど、私たちは負けてしまいました。だから、私たちのすみかはついに完全になくなってしまって、私たちは森を出て行かなきゃいけなくなりました。
  だけれど、森以外に私たちの居場所はありません。森でずっと生きてきたのに、他の場所では餌のとり方も安心して寝る方法も分かりません。私たちはどうすればいいのか分かりませんでした。迷った私たちは、行くあてもなく森を離れて行きました。
  だしばらく経って、私たちは家がいっぱい建っている場所を見つけました。よく目をこらすと、人間さんたちの姿が見えます。
  だ私は習慣的に逃げようとしたけど、お母さんは私を止めました。もう私たちに逃げる場所はないし、お母さんも私も体力が限界でした。それに、私たちから攻撃しなければ、もしかしたら人間さんも何もしないかもしれない。お母さんは行こうと言いました。
  だ私はそれに従って、人間さんたちのもとへ歩きました。もしかしたら、なんて淡い期待をもっていました。
  だ人間さんに近づこうとした時、ぱあん、と乾いた銃声が響きました。次の瞬間、前を歩いていたお母さんが地面に倒れました。
  だ何が起こったのか理解した時、私は頭に血が上りました。人間は何もしていないお母さんを撃ちました。私たちのすみかを奪うだけに飽き足らず、お母さんの命まで奪っていきました。私は撃った人間に襲いかかろうとしましたが、届くこともなく銃が私を打ち抜きました。   だずるい。人間はずるい。私から全てを奪っていく。もし生まれ変わるなら人間にだけはなりませんように。
  私は小説家なので、個人賞である「荻原賞」は、物語風の作品に注目したい。勝手にそう考えて選考に望みました。
  有田茜さんの「奪われたもの」は、原稿用紙1枚目で「私」って誰?という謎で読み手をひっぱり、2枚目で巧みに正体を明かしたかと思うと、3枚目で悲しいラストが待っている。原稿用紙たった3枚の中で、これだけのドラマを創造し、しかもしっかりと問題提起をしている。脱帽です。
挿絵 = 中園 唯
1986年生まれ  福岡県久留米市在住
久留米連合文化会会員、筑後市美術協会会員
ITOBAテキスタイル&フォイホーアートgrasp所属
染め、織りや刺繍等、染色技法をベースにした作品を制作

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川井郁子賞

「「当たり前」の未来を目指して」

大森第六中学校2年 小林 律仁

画:宮内 泉

  私はこの夏、瀬戸内海に旅行に行った。瀬戸内海は世界で有数の美しい海域だそうだ。海の透明度は高く、あちこちに小さな島が浮かび、空は青く、私の心も浮き立つかのようだった。しかし、港沿いの海にはペットボトルやお菓子のゴミが浮かんでいた。私はせっかく綺麗な海なのになと残念に思った。その一方で、こんなものかなと当然のように思っている自分がいた。そんなとき、私のすぐ近くで写真を撮っていた外国人の男性が、そのゴミに気付いた。すると、その外国人は靴と靴下を脱いで下に向かっていった。水深は少なくとも三メートルはあり、下に降りるには石垣のような壁を伝う必要があった。周囲がヒヤヒヤしながら見守る中、彼はその壁を掴み、少しずつ海面に近づいていった。そしてゴミに手を伸ばしたが届かず、足を伸ばしてゴミを近づけてゴミを拾った。彼は近くに浮かんでいたゴミを片手で抱えられるだけ拾うと、また少しずつ上ってきた。近くで見守っていたおじさんが、その外国人に「あぶないよ。」と声をかけた。すると彼は「すみません。But,we have to protect this beautiful sea.(でも、この綺麗な海を守らないと)」と語った。私は驚いた。彼も私も旅行者で、彼にとってはおそらく自分の国ですらないのに、他人の落としたゴミを危険を犯してまで拾いに行くのかと衝撃を受けた。私は今までゴミが漂っていることを仕方ないと受けとっていた自分が恥ずかしくなった。目の前の海が汚れていても、どこか他人事だった。だからといって彼のように危険を犯すことが正しい方法とは限らないが、少なくともその風景を「当たり前」と捉えたり、「仕方ない」と諦めてはいけないのだと気付いた。この綺麗な海を守るのは私たちだ。私たちひとりひとりだ。何を「当たり前」にするかによって、行動は変わってくるのだと気付かされた。私は日本の綺麗な海や山や川をずっとずっとこれから先も「当たり前」にしていきたい。そのために自分にできることは、少しずつでも行動していきたい。その後、私は砂浜に落ちていた誰かの花火やお菓子の小さなゴミを、いくつか拾い、自分の持っていたビニール袋に入れた。今までの私だったら目には入っていても、見えていなかったかもしれない。嫌だなと思ってそれで終わりだったかもしれない。だけど、諦めるのはもう終わりにした。本当に小さな一歩だけれど、未来の「当たり前」を作っていくのは今の私たちだと信じて、これからもひとつひとつ行動していきたい。
  瀬戸内海は故郷ということもあり、読んでいて状況が目に浮かぶようでした。他人のゴミは無視するのが「当たり前」という私たちが、海は皆で守るという「当たり前」の気持ちで行動する人の姿に衝撃と気づきを得た、というエピソードには説得力と感動がありました。文章の運びも自然で、とても引き込まれました。
挿絵 = 宮内 泉
一九五八年 京都府生まれ
幼い頃から絵を描くのが好き。
東京にて就職。 早期退職後、
大田区の とちの実作業所 に通所。
趣味は、音楽鑑賞。

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田中章義賞

ねっこのパワー! いのちをつなぐしょくぶつたち

立山町立立山中央小学校1年 中川 陽葵

画:飯沢 侍頼

  わたしのいえには、たくさんのはながうえてあります。おかあさんは、まいにち、もっとたくさんのはなをさかせたり、はなにえいようがいきわたるようにしたりするために、ながくのびすぎてしまったはなのくきや、はっぱをきっています。わたしは、それをみておもいだしました。まえに、おばあちゃんから、はなたばをもらったとき、まいにちみずをかえて、たいせつにかざっていたら、あるひ、はなたばのなかにあったしょくぶつから、ねっこがたくさんはえてきたのです。そのあと、たいせつにつちにうえると、いまでもとてもげんきにそだっています。きったしょくぶつから、ねっこがはえて、おおきくそだつことをしって、とてもびっくりしました。そのことをおもいだして、ながくのびすぎてしまったはなのくきをきったときに、すてずに、みずがはいったびんにいれてたいせつにそだてたら、ねっこがはえてくるかもしれないとかんがえました。   わたしはことしのなつ、いえにある、にじっしゅるいくらいのきったはなやしょくぶつをそだててみました。みずをいれたびんのなかにいれておくと、じゅっしゅるいいじょうのしょくぶつの、きったくきのところや、くきのとちゅうから、ねっこがはえてきました。 ちいさなあかちゃんねっこが、ぐんぐんのびて、ふとくて、ながいねっこになりました。はえてきたねっこには、ながいねっこやほそいひげがたくさんあるねっこがありました。おもしろいのは、ゆきのけっしょうみたいなねっこがあったことです。ねっこには、いろいろなはえかたがあることがわかりました。   のびすぎてきったり、とちゅうでおれてしまったりしても、たいせつにそだてると、またおおきくせいちょうすることが、とてもふしぎでおもしろかったです。はなやしょくぶつのパワーは、すごいなとおもいました。   わたしのまわりにある、はなやしょくぶつは、こうやって、いのちをつないでいることがわかりました。どんなにちいさなしょくぶつにもいのちがあって、びっくりするほどのパワーでいきていることがわかりました。これからも、はなやしょくぶつをたいせつにしようとおもいました。そして、みんながそんなきもちになって、はなやしょくぶつがたくさんふえたらいいなとおもいました。
  地球にもし宝ものがあるとしたら、それはこの「中川陽葵さん」のような人だと思います。陽葵さんのこころと探求心、植物への思いやりの気持ちは宝ものです。
  「とちゅうでおれてしまってもたいせつにそだてるとまたおおきくせいちょうする」「どんなにちいさなしょくぶつにもいのちがあって、びっくりするほどのパワーでいきている」――植物も人間もよく似ているのかもしれません。すばらしい発見をしてくれてどうもありがとう。陽葵さんに心から拍手を贈ります。
挿絵 = 飯沢 侍頼
富山県立富山北部高等学校 3年
受賞歴:2023年第48回・2024年 第49回富山県青少年美術展 デザインの部 入選
第64回富山県デザイン展 入選
元々好きだった絵の知識や技術を向上させるためデザインを学ぶ。
今後はデザインで学んだ知識や考え方を活かす事のできる教員を目指す。

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彩雲賞

ぼくのすむまち、びせい

井原市立美星小学校1年 川上 礼

画:RyuRyu

  ぼくのすむまちは、うつくしいほしのまちとかいて、びせいといいます。しょうわのじだいに、みやまがわとほしだがわのふたつのかわのなまえからできたらしいです。
  ふたつのかわのなまえとは、うつくしいやまとかいて、みやまがわ、ほしにたんぼのたとかいて、ほしだがわだそうです。ぼくはまだかんじのことはわからないけれど、きれいにかいてみたいです。
  びせいちょうのことをしらべてみました。じんこうは、やく3ぜん5ひゃくにんくらいだそうです。おかやまけんのみなみのほうにあるいばらしの、きたにある、やまのうえのちいさなまち。のうぎょうとらくのうをちゅうしんにさかえてきました。だい2じせかいたいせんというおおきなせんそうのあとからほかのやまのまちやしまのように、どんどんひとがへってきているようです。
  おとうさんがしょうがっこうにいっているときは、5ひゃくにんもこどもがいたそうです。たしかに、うんどうじょうやがっこうがひろいです。ぼくのクラスは9にん。なんでこんなにこどもがへったのかな。きんじょにもおともだちがいません。なんだかさびしいなあ。
  おとうさんにびせいちょうは、いろいろなことをしているとききました。まず、30ね
んほどまえに、にほんでさいしょのひかりがいぼうしじょうれいというきまりができたそうです。ネオンなどのひかりで、かんきょうやいきものにわるいえいきょうがあるのをへらすことときれいなほしぞらをまもるためだそうです。
  そして、そのきまりをやくだてて、3ねんまえに、ほしぞらほごくのダークスカイ・コミュニティにアジアではじめて、びせいちょうがみとめられました。このダークスカイ・コミュニティは、ただほしぞらがきれいなだけではないそうです。なんねんもかけて、ちいきのひとたちがきょうりょくしてしぜんのよるのくらさをまもってきたばしょでないと、みとめてもらえません。ぼくはびせいにすんでいることが、とてもうれしくなりました。
  よるほしをみると、ほしがたくさんみえます。このまえも、おとうさんと、ほしぞらをみました。いろいろなほしがあって、きらきらしていて、ながれぼしもみえて、とてもきれいでした。
  こんなきれいなほしぞらをむかしから、みあげていたんだな、このほしぞらをまもるために、びせいのひとが、がんばってくれていたんだなとおもいました。24じかんのコンビニはないけど、ほしぞらをまもるためにがまんします。
  ぼくは、まだうまれて6ねんぐらいだからびせいのことをしりません。でも、これからもずっとしらべていきたいです。
  「びせい」に行ってみたい。そう思いました。何年もかけて自然を守ってきた人々の努力を大切にし、未来に繋げていこうとする、6歳の作者の気持ちが伝わって来る作品でした。読んでいてとても暖かい気持ちになれました、ありがとうございました。「彩雲」とは雲が虹色に彩られることです。空を見上げているこの作品にぴったりだと思い選ばせていただきました。9人の同級生と一緒に、これからも星空を大切にしていってくださいね。
挿絵 = RyuRyu
2004年 岡山県倉敷市生まれ
2022年 社会福祉法人 旭川荘 カレッジ旭川荘入学 現在 同学3年生
作品作りは、常に頭の中のひらめきを頼りに進めています。

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潮出版社賞

もう二度と会えない君へ

倉敷市立菅生小学校4年 渡邉 奏介

画:橋本 賢二

  そうちゃん。
  君は今年もいつもの場所で、ぼくが来るのを待ってくれていますか。
  ぼくが友達と一緒に、君の周りを飛び回った時、君はすごくうれしそうに手を伸ばしてくれていたよね。
  君は人間なのに、ぼくらホタルのことを本当の友達のようにせっしてくれて、ぼくは、そんな君のことが大好きだったんだ。
  そしてぼくが君に「このままならきっと、ずっと一緒にいられるね」って言った時、君は「そんなの当たり前だよ」って笑ってくれたよね。
  だからぼくは、これから先もずっと、君と一緒にいられる日が続くって、信じてうたがっていなかったんだ。
  だけどそれは無理だったんだ。ぼくらの未来は君ら人間に全てうばわれてしまったんだ。
  お父さんもお母さんも、友達も、みんなみんな、バラバラで生きるしかなくなって。
  くらのえさとなる生き物が死んで、食べる物がどんどんなくなって、生きることすらできなくて、みんなみんな死んじゃったんだ。
  だから、君がいくらぼくを待ってくれていたとしても、ぼくはもう二度と、君に会うことすらできないんだ。
  ねぇ人間は「自然を守りましょう」とか、「きれいな水を守るため、必要以上に洗剤を使わないようにしましょう」とかって、環境を守るために色々なことを言っているよね。
  なのにどうして、いつも口先だけで行動にうつさないんだい。それは大人だけの責任なのかい。子どもの君は何も悪くないのかい。
  ずっと君と一緒にいられるって思っていたのは、ぼくだけだったのかい。大好きな君だったはずなのに、君が人間ってだけで、ぼくは君のことを許せそうにないんだ。
  それなのになぜかぼくは、もう一度だけでいいから、君に会いたいって思っちゃうんだ。
  それに、去年生まれた、君の弟にも会ってみたいんだ。君の弟だもん。ぼくは君みたいな友達に絶対になれると思うんだ。
  人間のことが許せないはずなのに、君や君の弟にだけは、会いたいって思っちゃうんだ。
  こんな悲しい出来事がすべてゆめだったら良かったのにな。だけどゆめじゃなくて現実なんだ。いくら願ったとしても、二度と君に会うことはできないんだもん。時は止まってくれないし、もどすこともできない。
  ぼくに、魔法は使えない。
  ぼくの願いはね、ぼくらホタルみたいにみんな死んでしまう前に、君たち人間が口先だけじゃなくて、実際に行動にうつして、こんな悲しい気持ちになる生き物が二度と出ないように、環境を守ってくれることなんだ。
  ぼくの最後の願いを、やさしい君ならきっとかなえてくれると、信じてるからね。
  そうちゃん、ぼくはいなくなってしまうけど、君と友達だったことは決して忘れないよ。
  友達になってくれて、本当にありがとう。
  本作は、環境悪化により未来を奪われつつあるホタルが語り手。毎年同じ場所で会っていた人間の友だち「そうちゃん」への惜別のメッセージだ。口先だけでいっこうに行動に移さない環境破壊の当事者たる人間への怒りと、命のともしびが消える前に人間の友だちに最後の願いを託そうとするホタルの切実な思いが交錯する。
「そうちゃん」が語り手だった前作にも増して、本作では地球環境悪化に対するより緊迫した危機感を見事に描き切っており、その筆力を高く評価したい。
挿絵 = 橋本 賢二
パーキンソン病。20 歳で発病。大阪芸術大学を卒業。2016 年~ありがとうファームで働き始める。絵を描いている最中は病の辛さから離れられると話す。生命力に溢れた絵を描き見る人を勇気づけている。

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幻冬舎賞

地球温暖化による蚊と私の戦い

大森第六中学校3年 丸山 泰生

画:浅野 智子

  私は蚊が嫌いだ。小さい頃から蚊に刺されることでリンパ管炎を発症し、場合によっては激痛で歩けなくなることもあるからだ。そのため毎年夏が来ると不安になる。虫刺され程度の些細なことなので、周りの人の理解はなかなか得られないが、一度重症化すると本当に厄介で、蚊は私の天敵なのだ。
  実は、蚊とどう向き合うのかは人にとって重要な意味を持つ。世界では蚊によって死亡する人が七十二万人以上もいるそうだ。熊や虎など危険な生物は多くいるが、人間を一番殺しているのは蚊である。蚊はジカ熱やデング熱など命に関わる病気を媒介する。
  そんな蚊が、温暖化によって増えている。以前なら春や秋に生息しなかった蚊は暑さが長引くことにより生息期間を延ばし、その生息範囲を広げている。より多くの人が危険にさらされるのだ。
  私の所属している自然科学部では自分の興味関心で自由に研究できるため、天敵の蚊の生態を調べることにした。敵を知れば対策できることも増えるからだ。蚊の好むもの、嫌うものを研究し、蚊をおびき寄せまとめて駆逐できるものを発見し、世の中から蚊を減らせば、助かる命も格段に増えるはずである。
  私の実験は、まず蚊を捕まえるところから始まった。そのために蚊に刺されるという恐怖とも戦わなければならない。なるべく蚊に刺されないように捕獲に挑むが、それでも刺されてしまう。蚊は隙あらば私を狙うのである。蚊は足裏の臭いに引き寄せられるという情報を得た私は、足裏の臭いの成分に「イソ吉草酸」というものがあり、納豆にはそれとよく似た成分があることが分かった。それを活かして納豆を用いて蚊を集められるか実験をしてみた。しかし、蚊は納豆には反応せず、他にマスタードや醤油を用いても、期待していた結果は得られなかった。
  また、蚊の幼虫である赤虫の研究も同時に行っている。赤虫はユスリカの幼虫で、血を吸わない種の蚊の幼虫だが、釣りの生餌として入手しやすい。赤虫はどのような環境で生きるのか。いくつか状況を作り出し、弱点についてデータをとっている。これらが判明できれば他の蚊にも応用できるかもしれない。
  祖父は、「昔はこんなに暑くなかった。夏でも朝夕は涼しかったし、しっかり四季があった。」と言っていた。たった数十年で環境は変化する。温暖化の原因と言われる温室効果ガスは、地球を温かく保つために必要なものだ。しかし、産業革命以降、生活が便利になると同時に多くの二酸化炭素が排出されバランスが崩れ地球の温度が上昇し生態系を乱してしまった。蚊の増加もそのひとつだ。
  人間の生活を豊かにするのは大事だが、それに伴う環境の変化で、今までにない問題が浮上する。変化とともに、新たな課題と解決策を探し見つけなくてはならない。簡単には研究の成果は出ないが、引き続き研究を進めていきたい。
  「敵を知ることで対策ができる」という力強いメッセージに溢れた作品。小さな頃にリンパ管炎を発症し、蚊が天敵と言いながら、果敢に蚊の生態に挑む筆者の行動力が素晴らしく、何より個性を感じました。蚊の捕獲のため様々な趣向を凝らす描写にリアリティがあり、ハラハラしながらも引き込まれます。こわいもの・都合の悪いことに蓋をせずに、まっすぐ向き合う探求心こそ、環境問題に向き合う私たちが見習うべきものだと教えられました。
挿絵 = 浅野 智子
東京都大田区在住。大田区立うめのき園所属。
現代アーティスト荻野夕奈指導のもと、 ワークショップノコノコで絵画制作活動中。

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Activeさんご賞

ゴミ拾いから気づいた事

倉敷市立葦高小学校5年 中村 多恵

画:宇美拓哉

  私は小学二年生の時からプロギングというジョギングをしながらゴミを拾う活動をしています。月に一回から四回、母、弟、プロギングのメンバーの四人から十人で未就園児から六十代くらいの老若男女が朝六時三十分から二時間、美観地区周辺の約五キロメートルのエリアをきれいにしています。
  プロギングをすることで気づいた事や学びにつながった事が二つあります。一つめは、大谷選手が言っていて人が捨てたゴミは人の運を拾っていて私も運を拾っている気持ちになり、とっても嬉しくなりました。
  二つめは、一番多く拾うものはタバコの吸いがらです。おにぎりを包んでいるプラスチックからできているふくろ、ペットボトル、ビン、カンも多いです。プロギングをするようになり、「便利」のうらにはたくさんの捨てられるゴミの存在があります。プロギングを始めた時はあまり知らなかったけど、街にでたゴミは川や海に流れてしまい、魚がゴミをエサとまちがえてしまい食べ、消化できずに死んでしまったり、人間が食べることにもつながります。
  今年六月に行った海の学習で地引きあみをしたら、コーヒーのかんや、おかしのふくろも魚といっしょにあみにかかっていました。タバコの吸いがらは完全に分解されるまで一年半から十年かかるそうです。プラスチックゴミのほとんどは自然に分解されることなく、百年以上もの間、海に残り続けていることがわかっています。
  私に出来ることをして、ポイ捨てをしない事、日頃からゴミぶくろを持ち歩き、ゴミがでたら、ゴミぶくろに入れて家で捨てるようにすること、使わなくなったものはフリーマーケットや、リサイクルショップで売ったりしたり、人にゆずったりして、ゴミをへらす事。エコバッグを使ったり、マイカップ、マイ容器の持参をよびかけているお店を利用する事。そして、プロギングの仲間をふやす事。そのために活動をけいぞくしたいです。
  「プロギング」という言葉を初めて聞いた。ジョギングをしながらゴミを拾う活動のことだそうだ。なるほど、ただゴミ拾いをするより手軽だし、健康にもいいな、なんて思うだけで、やろうとしない私とは違って、小学五年生の中村多恵さんは、小学二年の時から続けているそうだ。よく拾うもののランキングをあげて、こう訴える。『「便利」のうらにはたくさんの捨てられるゴミの存在があります』行動している人の言葉だからこそ、響く。
挿絵 = 宇美拓哉
福岡県八女市在住  日本美術家連盟会員、福岡県美術協会洋画部委員、西部水彩画協会運営委員
九州芸文館アカデミー講師他絵画教室、個展を多数開催
第80回水彩連盟展にて文部科学大臣賞をはじめ受賞多数

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選考委員会特別賞

山のおくりもの

都城市立明和小学校4年 外山 禮兜

画:漆木弥生

ひいばあちゃん家の
白飯は おいしい
しおにぎりは さいこう
ふっくら もちもち
甘いご飯 何ばいでも おかわり

ひいばあちゃん家の
みそ汁は おいしい
しいたけと豆ふのみそ汁 さいこう
みそと水と具がちょうどいい
うまいみそ汁
何ばいでも おかわり

ひいばあちゃん家の
水は おいしい
ゴクゴクゴク ああ さいこう
山からのおくりもの
冷たくて 甘い水
この山水 何ばいでも おかわり

ひいばあちゃん家の
おいしい 山水
いつまでも いつまでも
飲めますように
ぼくたちが 守っていくね

  山からのおくりものに満ちたひいおばあちゃん家には、そこでしか味わえない至福の〝味〟がある。本作は、山がもたらす大自然の恵みへの賛歌である。
豊かな自然と穏やかに共存するひいおばあちゃんと暮らしを共にしながら、ひ孫である筆者は、なかば必然的に地球環境の大切さを体感し、山の守り手とならんとの願いに至る。
平易な文体の紙背に、ひいおばあちゃんへの憧憬の念とともに、私欲なく澄んだ目で自然を見つめる子どもがもつ本然的な力強さを感じさせる名作である。
挿絵 = 漆木弥生
都城市出身
チャリティー活動団体 アート・アイ代表

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選考委員会特別賞

「強い命、弱い命」

静岡サレジオ小学校5年 森谷 陶人

画:井上 結月

人の命とはなんだろう。ぼくは歴史に興味があって、調べてはカッコイイ!と感じていました。しかし、調べている中で、テレビには映されていない生々しい生活があるということを知って、驚きました。英雄がたたえられていても、その裏では普通の人やぼく達くらいの子どもも苦しんでいる。これからはものの見方が変わる気がしています。
  これまでは戦争のニュースを観ると、自然環境やいろいろな生き物を心配していました。
なぜなら、日々外遊びをする中で地球温暖化をひしひしと感じ、人間は自然をこわしてしまう力を持つ存在だと思っていたからです。
ところが、人間はぼくが思うよりも弱き存在でした。
  原爆が落とされて、学校が救護所になったシーンがありました。その場所ではぼくと同じくらいの年齢の子ども達が、亡くなった方のご遺体を運んだり、遺品を集めたりしていました。今の日本では、子どもは守られていて、重傷の人を見ることすらありません。戦時中の子ども達はなんてたくましくて、同時につらそうなんだろう。そして、外国には今でもつらい仕事をしなければならない子どもがいるのかもしれない。そういった子ども達のことを考えた時、助けられるべき大切な命がここにもあるんだと感じることができたのです。
  ところで外遊びが好きなぼくにとって身近な命といえば、川の魚や野山の虫たちです。
あれはぼくが九才の秋のこと、つまり虫が冬をこす準備をするころの話です。風が吹くと少しはだ寒い日の森でした。まわりを見ると、小さいシジミチョウやセセリチョウが飛んでいます。夏にはたくさんいたモンキアゲハなどの大型の蝶やセミは鳴りを潜め、いつもにぎやかでぼくを楽しませてくれた森はひっそり静まりかえっていました。ぼくの虫かごには、ツマグロヒョウモンという蝶の幼虫が一匹だけポツンと入っていました。秋だというのに越冬せずに、スミレの葉をさがしていました。蝶や蛾の幼虫は、決まった植物でないと食べられません。ところが周りにスミレがないことに気付いてしまったぼくは、放っておけない気持ちになり、育てることにしました。
  そこで、いつも行く自然公園や花屋さん、
近所の川沿いを探したけれどスミレは見つかりません。そうして何日かたつうちに、幼虫はやせてほっそりしてしまいました。とうとう困って、詳しい人に質問すると、あの森に少し前に生えていたと教えてもらえました。
  今でも秋がくるとあの幼虫は無事冬をこせたのだろうかと心配する気持ちがよみがえってきます。家族を失った人の気持ちはまだ実感できないけれど、とても悲しいのだろう。
  ぼくはいつもテレビで観ても被害を数字で見てしまうけれど、その向こうには人がいるということに気が付きました。そして強い命も弱い命も大切だと気が付いたのです。
  戦争と地球環境、人類の矛盾と愚かさを、「弱い命」という視点から浮かび上がらせた作品です。人間の欲望が自然を壊してきたという一方で、人間は思っているよりずっと「弱い存在」だという考察が印象的。テーマがしっかりしていることに加えて、冬を迎える準備をした森や虫の描写が素晴らしく、筆者の自然を愛する気持ちが伝わってきます。戦争や環境破壊という大きなテーマを、頭でなぞるのではなく、繊細な心情で捉えていて心を動かされます。
挿絵 = 井上 結月
2005年生まれ。静岡デザイン専門学校CGデザイン科在学中。

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奨励賞

あふれるゴミからあふれる植物へ

馬込小学校6年 廣江 初菜
私は植物が大好きです。大田区には池上梅園や馬込シクラメン園など、きれいな植物が見られるところがたくさんあります。特に私が気に入っているところは、家の近くにある馬込桜並木通りです。毎年春になると約九十本もの大きな桜がさき、とてもきれいで、みりょうされます。私は三月になると、開花はまだかと待ち遠しくなります。しかし、私たちの生活に欠かせない場所が植物に悪影響をおよぼすことを知り、残念に思えた経験がありました。それは私が三年生の頃、京浜島にある大田清掃工場に行った時のことです。そこではゴミ収集車から出てくる大量のゴミを見ました。私はいい気分にはなれませんでした。ここで見たゴミはふだんの私たちの生活で出ているゴミです。このゴミの中には分別されていないものもあると知りました。そしてゴミを燃やすと、たくさんの二酸化炭素が出ます。その二酸化炭素は地球温暖化の原因につながることがわかりました。私たち人間は地球温暖化が進み、気温が上昇しても、すずしいところに移動すれば生きていくことができますが、植物は移動することができません。暑さにたえられずかれてしまう可能性があります。このまま人間が二酸化炭素を出し続け、数々の植物がかれてしまうのは胸が痛みます。そのため、二酸化炭素の排出を減らさなければならないと考えました。
  まず、家ではゴミの分別に取り組みました。行ってみると、ダンボールや壊れた自動ハンドソープの分別に困りました。きれいなダンボールはリサイクルが可能です。伝票シールを全てはがし、資源ゴミとして出さなくてはいけません。壊れた自動ハンドソープに入っていたかん電池も可燃ゴミとしてそのまま捨ててはいけないと知りました。他にも家にはリユースできるものがたくさんあり、もう少し早く気づけばよかったと後悔しました。また、私は五年生になると、学校の環境美化委員会に入りました。この委員会では、毎回古紙やミックスペーパーの回収を行っています。この活動を行うことで、可燃ゴミの量を減らすことができます。しかし、生徒みんながこの活動に協力してくれないと、回収を増やすことはできません。そのために、動画をさつえいしたり、ポスターをろうかにけい示したりして、古紙やミックスペーパーを知ってもらう活動をしています。六年生になり、環境美化委員会の委員長になりました。私たちの活動についてもっと広めようと、朝会で全校生徒に呼びかけをし、みんなが楽しく分別できるように企画を考えています。私は中学生になっても、地球環境に関わることのできる委員会に入り、学校の活動だけでなく、各生徒の家庭でもゴミを減らす活動を行ってもらえるように声かけをしたいです。ボランティア活動にも積極的に参加したいと思います。
  これからも植物であふれる大田区にするために、地域のみんなでゴミを減らす活動に取り組んでいきたいです。

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カブトムシの森

世田谷区立尾山台小学校1年 隂山 泰平
  ぼくは、カブトムシがすきです。まいとしいえでカブトムシをそだてています。つのがとてもかっこいいです。
  いつもキャンプでカブトムシのようちゅうをとるけど、ことしはいませんでした。カブトムシはどこにいってしまったのだろう。木が多い森にいるだろう。ぼくならごはんがたくさんあるところがいいです。カブトムシもみつがたくさんある森がいいとおもうはずです。
  ぼくは、カブトムシのために木をはやしたいです。

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山の中で感じたこと

雪谷中学校2年 平岡 治子
  夏の東京は本当に暑い。それは建物や自動車の交通量が多いからだ。建物が多い分、緑地面積が少なくなり、風通しが悪くなる。また、地表面はアスファルトで整備され、建物や工場、自動車からの排熱もあって、東京をはじめとする都市部は、いわゆるヒートアイランド現象に悩まされている。
  しかし、昨年の夏に訪れた、尾瀬の燧ケ岳は、見渡す限り自然しかなく、涼しい風が吹いていた。素敵な場所だと思った。木々の中に続く土の小径と、時折現れる木道や木製のベンチだけ。コンクリートや電柱、高い建物などどこにも見当たらない。
  燧ケ岳は、東北や北海道で一番高い山で、深田久弥の『日本百名山』でも紹介された、高山植物の豊かな山だ。しかし、尾瀬全体で見ると、ほとんどの登山・観光客が群馬県側の尾瀬ヶ原に集中している。燧ケ岳で出会ったのは数人だけで、山頂でも自分たちを含めて七~八人しかいなかった。理由は、一~二泊しないと歩けないコースだというのと、山域を管理しているのが福島県で、関東から来る人々にとっては遠回りになるからだ。途中の湿原で写真を撮ってくれたおじさんも地元の人で、ずいぶん昔にも一度登ったことがあると話してくれた。
  一方、同じ百名山でも、富士山は国内外からたくさんの人が集まり、登山道には長蛇の列ができるという。山梨県側で一日の入山者数を規制したり、入山料を徴収したりし始めたこともニュースで知った。
  そして以前道徳の授業で、富士山にはたくさんのゴミが捨てられているという話を教わった。道には登山客が落としていったお菓子の包み紙のような小さなゴミ、富士の樹海には不法投棄による家具・家電などの大きなゴミ。本来は自然だけのはずだった場所が、ゴミ捨て場へと化していたと。この話を聞いた時、とても残念だった。これが日本の山なんだなと思って、失望した。
  しかし、あの時に訪れた燧ケ岳は、そんなイメージを一変させた。そこは、ゴミなどどこにも落ちていない、昔のイメージ通りの自然そのものの場所だった。自然に囲まれる気持ちよさや幸福感を知り、またこの美しい場所に戻ってきたいと思うことができたし、自分たち人間には、自然が欠かせないんだなと強く感じることができた。
  自分は、東京でまた来たいと思える自然に未だ出会えたことがない。それに、今の自分には、自然を直接守る活動に参加することはできない。しかし、自然を壊す原因になる行動をしないことならできる。小さなゴミを捨てないことや、身近な人たちに捨てさせない意識を強くすること。さらに、自分にできるということは、他の人たちにもできるということだ。身近な人たちから一緒に、それらを意識して、これからの自然とともに生きていけるようにしようと、強く思った。

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二酸化炭素と交通

大森第六中学校2年 川瀨 元
  私は小さいころから鉄道が好きだ。特に好きなのは路面電車と夜行列車。
  しかし、現在ではどちらも「絶滅危惧種」といっても差支えないようなものになっている。
  ではなぜ、路面電車は衰退してしまったのか。
  路面電車は、東京オリンピックごろより始まった自家用車の急速な普及、いわゆる「モータリゼーション」によって壊滅的な状況に追いやられた。
  一方の夜行列車は、新幹線や航空機の普及、高速バスの台頭により廃止に追い込まれた。
  一見なんの関係もなさそうな路面電車と夜行列車の廃止理由だが、実は大きな共通点がある。
  それはどちらも、自動車の普及が理由の一つになっていること。
  自家用車と高速夜行バスの違いはあれど、自動車の普及により、シェアを奪われ、廃止に追い込まれていたのだ。
  自動車とは便利なものである。決められた場所へしか行けない鉄道と比べて、自分行きたい場所にピンポイントで行ける。鉄道のない場所にも行けるし、鉄道のない時間にも行ける。
  実際に使っていて便利と感じることは多い。
  だが、大切なものを見落としてはいないだろうか。
  よく知られている通り、鉄道は他の交通手段と比べ、環境に与える負担は少ない。
  二〇一九年に国土交通省が行った調査によると、自家用車は鉄道の7倍二酸化炭素を排出する。
  便利さを求めるあまり、支払う代償を軽視してはいないだろうか。代償とは環境への負荷である。
様々な側面から環境の保全を考えるのであれば、この事態を見直さなければならない。
  前々から言われてきたことではあるが、まったく動きを見せない。
  しかし、近年になってようやく、改善の動きが見えてきた。宇都宮ライトレールの開業である。
  栃木県の宇都宮にできた、七十五年ぶりの新しい路面電車路線である。
  もともとは、交通を便利にするためにつくられたものだが、市の廃棄物発電の電力の提供を受けるなど、環境保全にも貢献している。
  開業一年を迎えるが、成功といえる成果を出しているようだ。
  どちらかを滅すのではなく、手を取り合った環境にやさしい交通システムを築いてほしい。

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地球さんのおそうしき

富士宮市立富士宮第一中学校3年 島田 結愛
  『みんなまっくろな服を着て、涙を流している。火星さんや月さんもいる。ぼくは、二人のもとへ走っていった。
「こんにちは!」
ぼくがそう言うと、二人はなにかをふくようなしぐさをした後、優しい声で、
「こんにちは。」
と言ってくれた。ぼくは小さないんせき。本当は地球さんに会いに行くために生まれたけど、地球さんは「ニンゲン」っていう動物たちに殺されちゃって、会えなかったんだ。
「いんせきくん、ひとりで大丈夫?」
って月さんに言われて、すぐに
「うん、だいじょうぶ。」
と言った。もっとお話したかったけど、月さんはいそいでいるみたいだったから。
  ぼくはトイレに行きたくなって、トイレへ向かった。そうしたら、月さんがおまわりさ
んと話しているのが見えて、どうしても気になっちゃってこっそり壁にかくれた。
「地球はニンゲンに殺されたんですよね?」
「はい。詳しいことはわかりませんが…。」
「どうして!何も悪くないのに!」
月さんの大きな声が少し怖かった。
「地球さんはニンゲンが行ったいろんな行動のせいで亡くなりました。急に体温が上がりはじめたときがあったんです。そのときにニンゲンを厳しく罰していればこんなことにはならなかったかもしれない…。」
そのおまわりさんの声はとても苦しそうだった。そして、おこっているようにきこえた。
  ニンゲンはどうして地球さんを殺したのだろう。地球さんはとても美しくて、動物や植物を大切にしていて優しかったのに。ぼくは地球さんのおそうしきの間、ずっともやもやしていた。』
  人間のみなさん、これはもしかしたらこれから起こるかもしれないおはなしです。悪い と知っていてポイ捨てをしますか?美しい木たちを切りますか?きっと、本当に地球が死んでしまうとき、私達はこう言います。
「そんなつもりじゃなかった。」
「まさか死ぬなんて思わなかった。」
そう言うのなら、今から行動するべきです。
はじめは一人でも一人が二人に、二人が四人に、四人が八人に…というふうに少しずつ増えていくはずです。そうやって私達人間が、「殺星犯」になってしまうのを防いでいって地球を守っていきませんか?今、これを読んで下さっているあなたは、一緒に守ってくれますか?

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人間がぜつめつきぐしゅにならないように

静岡サレジオ小学校4年 岡崎 右京
  ぼくは、タガメが好きです。なぜ好きかというと、カマが大きくて、ぼくの好きなカマキリみたいだからです。ふだんは、えものを待つために水草にかくれ、えものがきたら左右のカマをすばやく動かし、えものの体をおさえて動かないようにしてからぼうのような口をえものにさして、体えきをストローでのむようにしてえいようをすい取っています。そんな場面をテレビで観て、かっこいいと思いました。
  ぼくはそれをじっさいに見てみたくなったので、タガメをつかまえて、かってみたいと思いました。そこでインターネットや本を使っていろいろ調べてみました。昔は田んぼでよく見られた水生昆虫でしたが、近年、田んぼで農薬が使われたりコンクリートのだんさができて自然がへって、水の中に入れなくなってそのまま死んでしまったりすることが分 かりました。東京や神奈川ではぜつめつしてしまったということも知りました。静岡にはタガメがいるかどうか調べてみたら、浜松の山おくにいることが分かりました。そこで、浜松にタガメをつかまえに行きたいと話をしてみたら、お父さんに 「ただでさえへってきているのにつかまえたらもっとへるし、せまい水そうでかうということは、死んでしまうことになるからかうのはかわいそうだ。」 と言われました。それを聞いて、かうことよりもふやすためにどんなことをしていけばいいかを調べることにしました。
  タガメが自然にふえるようにしていくには、 かんきょうをよくすることが必要です。たとえば池を造ったり、さんらんするための木を池にさしたりする必要があります。そんな時に間ばつ材を使うことが出来ると思いました。 また水草もふやし、かくれてえものをつかまえることが出来るようにすることも大切です。 タガメのてんてきであるカラスから身を守るために、タカのもけいを使ってカラスが来れないようにします。それにえさになるカエルや魚たちも住めるようなかんきょうが大切です。そんなことを調べていくと一番大切なのは、水だということが分かりました。
  人間が水をよごしかんきょうをあらしたのだから人間がせきにんをもち、かんきょうをととのえていかないといけないと思います。 タガメは、ぜつめつきぐしゅになっています。 ほかにもぜつめつきぐしゅになっている生き物がたくさんいます。人間が今、本気でがんばらないと人間もぜつめつきぐしゅになってしまうと思います。

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水と虫にもありがとう

菊川市立堀之内小学校1年 新井 夢菜
  ことしの五月、はじめてたうえをしました。 水はつめたいし、あしははまってうごけない。 なんどもころびそうになって、てもあしもどろだらけになりました。
  田んぼにはアメンボやオタマジャクシなど、 たくさんの虫がいました。虫はきらいだし、 どろだらけになるし、わたしはなきそうになりました。
  でも、この虫たちはいねをたべてしまう、 わるい虫をたいじしてくれるし、このつめたい水は、いねをそだててくれます。水と虫がなくては、お米はそだたなくなってしまいます。
  わたしはごはんをたべるとき、ごはんをつくってくれた人、お米をつくってくれた人、 どうぶつやさかなにかんしゃをこめて「いただきます」といっているけれど、これからは 水や虫にもかんしゃをしたいとおもいました。

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守るべきもの

御前崎中学校3年 坂本 唯愛
ある所に海が大好きな小さな男の子がいました。海は、綺麗な青色をしており、いつも輝いていました。その為、訪れる人も多く皆から大切にされていました。男の子が海で遊んでいると、どこかで「ありがとう」という声が聞こえてきました。男の子はふと顔を上げても周りには誰もいませんでした。しかし、男の子は「海の声」だと感じて、
「いつもありがとう。」
と、海に向かって感謝を伝えました。
  男の子が中学生になった時、医者をやっているお父さんが言いました。
「お前は私と同じ医者を目指せ。」
男の子はこの言葉に対して、
「僕は漁師になりたいんだ。」
と返します。その時、お父さんは机を叩き反対しました。お父さんは過去に津波によって友人を亡くしてしまったのです。その為、海に関する職業をやらせたくないという気持ちがありました。男の子は黙って俯くことしかできませんでした。
  月日が経ち、男の子はいつものように勉強していました。ふと窓に目をやるとすぐ違和感に気付き、慌てながら外へ出ました。向かった先には、多くのゴミが落ちていて、ひどく汚れた海でした。あまりの衝撃で言葉が出ず立ち尽くしていました。昔に比べて人も少なく、輝きも失っていました。そして、微かに声が聞こえました。「助けてほしい。」と。男の子は見捨てる事が出来ず、ゴミ拾いを始めました。そして次の日、また次の日と男の子は海に行ってゴミ拾いを続けました。その姿を見たお父さんは反対しましたが男の子は諦めませんでした。次第に男の子を見習って近所の人やクラスの人が手伝ってくれるようになり、町からは高く賞賛されました。
  あれから数年が経ち、男の子は社会人になりました。彼は海上保安官になりました。そ して、この職に就いた理由をこのように語りました。
「父親からはひどく反対されました。確かに自然災害により亡くなる方は多くいます。しかし、私達は海があることによって今を過ごすことが出来ています。海には海にしかない役割があり、私達を支えてくれています。だからこそ、海は守るべきものだと考え、この道を選びました。」
社会人になってからは海の声は聞こえなくなりましたが、彼は一瞬、海の方からある一言が聞こえたといいます。
「ありがとう。」
と。

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持つべきもの

富士市立吉原第三中学校3年 山下 瑚夏
  大人によく、「緊張感を持て」と言われます。受験前のテスト、試合前の練習、色々な場面で緊張感を求められます。
  私は正直、緊張感なんて邪魔なだけだと思います。緊張するとせっかく暗記した英単語を忘れてしまったり、いつも練習でできていたことができなくなったりしてしまいます。
  私は特にそうで、少しでも緊張するとなにかを失敗してしまいます。なので、緊張するときは心を落ち着かせてリラックスをし、冷静な判断ができる状態にします。
  私の名前は「瑚夏」と書いて「こなつ」と読みます。私は八月生まれなので、「夏」が入るのは納得できますが、「瑚」が入るのはなぜなのか今までずっと不思議に思っていました。
  気になって調べてみると、珊瑚礁の「瑚」
でした。なぜサンゴ礁にこだわったのか気になったので、調べてみました。サンゴ礁は、温かくて濁りのない澄んだ海によく生息しています。お母さんに聞いてみると、「あたたかくて、きれいな人になってほしかったから」 という理由でした。長年の謎が解けてとても感動しました。それと同時に、サンゴ礁について興味が湧いてきました。
  それから珊瑚礁について調べると、たくさんの情報を得ることができました。九万種の生き物の住処や産卵する場所を提供していて、海の生物の中で重要な役割を持っていること、そこから「海のオアシス」と呼ばれていることなど、たくさんの珊瑚礁のいいところを知ることができました。
  それと同じぐらい目にしたのは、「珊瑚礁の減少・白化」です。地球温暖化による海面上昇、海水の温度上昇など、「環境のストレス」が珊瑚礁に悪影響を与え、減少・白化の原因となっていることも分かりました。
  これを聞くだけだと何も感じませんでしたが、前記の「海のオアシス」がなくなると、
そこに住む九万種の生き物の住処がなくなるだけでなく、産卵する場所もなくなるので、我々人間の食生活にも大きな影響を及ぼすことになります。
  ここまで知ってやっと、私は「緊張感」を得ることができました。「お寿司が食べられなくなるかも⁉」という不安から緊張を感じ、 エアコンの温度を控えめに設定したり、エコバッグを持参したりするなど、地球温暖化の対策をするようになりました。緊張感を得てから動くのではなく、常日頃から何事にも緊張感を持ち、珊瑚礁についての知識を持っていれば、もっと早くから対策ができていたかもしれません。
  珊瑚礁の減少をすぐに止めることは難しいです。しかし、緊張感を持ち、それについて「知る」ことで「自分事」になり、一人一人が対策していけるのではないかと思います。

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きっかけ

南砺市井波中学校2年 磯辺 悠花
   厳しい暑さが続く毎日、僕は中学2年生の夏を室温19℃の部屋で過ごしていた。僕は暑さが苦手だ。出来れば、汗をかかずに生きていきたい。エアコンを24時間稼働させた部屋で、ふかふかの布団をかぶって眠るのが幸せだと思っている。
   お気に入りのマンガを手に、ベッドへと転がった僕はふと机上の封筒が目に止まった。先日、郵便受に入っていた封筒だった。宛名は僕だが、消印がない。意を決した僕は、起き上がって封筒を手に取った。はさみを使って丁寧に端を切っていく。すると開いた封筒の口から光があふれ出した。部屋を満たした光の中、突然現れた厳つい男たちに僕は捕まえられてしまった。そのまま光を通り抜け、見渡す限りの砂の海の中置いていかれてしまった。水も無い、耐え難い暑さの中で僕はすぐにへたりこんでしまった。
   気が付くと見知らぬ青年に助け出されていた。ここはエアコンは無いが、日光は避けられる。もらった水を飲み顔をしかめた。文句は言えないが、はっきり言って不味い。助けてくれはしたが、ずっと僕をにらみ続ける。青年は口を開いた。
   ここは2124年、青年は僕のひ孫なのだと言う。未来では環境汚染が激しく、住める場所もわずかしかない。異常気象に生物の奇形、この地球は僕の知る頃とは全く違うらしい。止まらない汚染に世界政府は革新的な策に出た。過去100年前に渡り、資源を無駄にした一般人を捕まえるという。一人の無駄遣いが及ぼす環境への害悪を知る実験だ。
   僕が何か悪い事をしたのか。
   僕と同じような生活をする奴らなんて、周りにも沢山いるだろう。工場とか戦争とか、もっと悪化させる要因があるはずだ。
   実験結果はすぐに分かった。バタフライエフェクトという言葉が脳裏にひらめいた。些細な出来事が未来を変える。環境が改善され始めていた。先ずは息苦しさを感じる空気がきれいになった気がする。僕が環境汚染のきっかけを作り出していたのか。恐ろしさが胸を占め先ほどとは違った息苦しさがおそってきた。
    僕は自室にいた。室内は涼しいのにも関わらず、僕は背中にじっとりと汗をかいていた。白昼夢を見ていた。いや、それでは説明ができない程に胸の動悸が治まらない。すがる様に握っていた両手を開くと、もらった水のビンがあった。ビンの内側に残っていた水をなめてみる。やはり不味い。
   僕は静かにリモコンのボタンを押した。机上に置いたエアコンのリモコンは27℃を表示していた。

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なにができる

倉敷市立倉敷南小学校5年 平田 蒼葉

なにができる
十歳のぼくに
なにができる
近所のゴミ拾い?
いや
そんな簡単なことじゃ
未来の地球は救えない
今、自分にできることはなんだろう

なにができる
図書館で
SDGsの本を借りて読んでみる

なにができる
ゴミの分別
プラスチックの削滅

なにができる
むだな買い物をしない
これはお母さんに伝えよう
なにができる
家にある食品の消費期限チェック
これはぼくとお父さんの役割にしよう

なにができる
マイボトルを持ち歩く
エコバックを持ち歩く

なにができる
本で読んだ知識を家族に伝える
行動にうつしてみる

これらの事を
ぼくもやってみる
そして
一人でも多くの人に伝えて広めたい

なにができる
ぼくにできることは
無限大だ

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母の小言

岡山理科大学附属中学校2年 藤村 明梨
  私の母は口うるさい。口を開けば、
「電気はこまめに消して!」
「冷蔵庫を長く開けっ放しにしないの!」
「水を出しっ放しにしません!」
「エアコンがついている部屋へ出入りするときは素早く!」
「お出かけの時は水筒を持って行って!」
   これらはほんの一例。挙げるとキリがない。
実際は、ここには書ききれないほど多く、とにかく細かい。小さいころから、耳にたこができるほど言われた。理由は決まって「地球がお熱を出すから」。
   小学校中学年のころに気付いた。もしかして、うちは貧乏なのではないか。地球がお熱を出すなんて、母以外の口から聞いたこともないし。よく考えてみたら、母が言う「地球のお熱対策」はどれも、節約につながることばかりではないか。しかし、面と向かってそんなことを聞けるはずもなく、時が流れた。
   小学校高学年になり、学校で地球温暖化について習った。温室効果ガスの増加により、地球の平均気温が上がり続けているという。その時、ようやく合点がいった。母が言っていた「地球のお熱」とはこのことだったのだ。幼い私にも分かるように「お熱」と言う表現をしていたのだ。そういえば、母はこんなことも言っていた。
「紙はごみ箱に捨てず、小さくても資源ごみ入れに入れて!ごみ箱に入れたらごみだけど、資源ごみ入れに入れれば、資源になるから。」
   うちは貧乏なんじゃないかなどと思っていたが、母が危惧していたのは我が家の家計ではなく、母よりも未来を生きる私たちの将来、私たちが生きているこの地球の将来のことだったのだ。
   近年、異常気象や夏の気温の高さについての話をよく耳にする。また、去年から今年にかけての冬は記録的な暖冬だった。「数十年に一度」というワードもよく耳にする。異常な状態が通常になりつつある。とても危険な状態だと、肌で感じている。今までは、正直貧乏くさいと感じていた母の小言を、地球温暖化を知った今では、地球を守りたいというポジティブな気持ちで実践できるようになった。でも、私たち家族の力だけでは微々たるもの。できれば一人でも多くの方に知ってもらい、ぜひ実践してもらいたいと思っている。
   これを読んでいただいている、そこのあなた!よろしければ、この作文に挙げた母の小言・・・いや、母の「地球を守る実践例」を、一つでもいいので実践してみませんか?私たちと一緒に、地球の未来を守りましょう!

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私達がトップにいる理由

井原市立井原中学校3年 藤間 美和
  「水質汚染」と言われたら、魚取りをしていた小学校のころを思いだす。私は親や祖父と川だけではなく、排水溝でも魚取りをしていた時があった。だがある時、排水溝から、ギトギトの油や、洗剤が流れていた。私の母が「汚いから、ここでは、魚取りをするのはやめた方がいい」と言ったことがショックで、今でもそのことは覚えている。「ここにいたエビやメダカやザリガニは、どこへいったの?死んでないよね?大丈夫だよね?」と、その日は一日中悩んでいたと思う。
   ある日、「人間は、生態系のトップにいる」ということを習った。人類は無限に拡張する言語と、抽象的に考える能力、いわば知能を授かったから、生態系の中では、一番強いということを。だが私は、知能を授かったと同時に、自己中心的な考え、つまり「わがまま」も授かってしまったと思えている。人間は自分達の都合のいいように、自然の環境とつき合っているし、いこうともしている。私はある動物達との関わりについて描かれている漫画を読み、そう思った。自分達は違う、ちゃんと動物のことも思っている、という人も中にはいると思う。それでは質問する。アザラシがシロクマに襲われている。自分は手に銃を持っている。あなたならなにをするか。私だったら、とっさにとる行動であれば絶対にシロクマめがけて、銃を撃っていると思う。ほとんどの人は、「シロクマを驚かせてどこかに行ってもらうために、おどしで銃を使う」や「アザラシがかわいそうなのでシロクマに向けて銃を撃つ」など、私と同じシロクマを敵にまわすことを選んだのではないか。それがリアルで、とっさの判断を迫られるのであれば尚更そうだ。だがその判断は、人間の「わがまま」が無意識にあふれ出ていると思う。よくよく考えてみると、シロクマは生きた動物を殺して食べないと生きていけない、だが人間の無神経の「かわいそう」というとっさの判断により、悪者扱いされてしまう。人だって肉を食べているのに。だけど人は、言い訳ができる。知能を持った生き物だから。
   「わがまま」は、排水溝や人間性以外にもある。生態系のバランスを一番に崩しているのは、自分達なのにも関わらず、外来種は、許されず人の手によって殺されていく。「そんなことをしたら動物が死んでしまいますよ」より、「そんなことをしたら動物が死んで人にも悪影響がありますよ」のほうが説得力があるし、教えてもらう時も、こっちのほうが多い気がする。私だって、「動物のために、エアコン禁止」と言われても絶対に無理だ。
   本当にこんなのが生態系のトップでいいのか。実際に今、人間によって、地球で環境問題が起こっている「環境問題」だけに視野に置くのではなく、「人間のわがまま」と「地球の限界」について比較してみよう。大丈夫、私達は知能に恵まれた生き物なのだから。

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かぞくりょこう

倉敷市立水島小学校1年 井上 笑凜子
  ことしもかぞくりょこうにいってきました。わがやではかならず、なつやすみにはいってすぐに、かぞくみんなでとっとりけんよなごしにあるかいけおんせんにでかけます。とまるりょかんもいつもおなじです。わたしは、1さいのなつからまいとしこのかいけおんせんのめのまえにあるゆみがはまといううみにきて、あそんでいます。ことしで6かいめのゆみがはまのうみです。いわばには、ちいさいカニからおおきいカニまでたくさんのカニがいて、てづかみでつかまえたり、あみでとったりします。
ことしは、もずくガニというわたしのかおよりおおきいカニをあみでつかまえました。みぎてだけとてもおおきくて、ふわふわのけがはえています。ひだりてはちいさいてでしたが、とってもげんきのいいカニで、すばしっこくにげますが、おにいちゃんときょうりょくしてはさみうちでつかまえました。わたしがおおさわぎしていると、しらないおじさんたちがきて、びっくりしてわたしにはなしかけてきました。
「このカニどうしたん。あみでつかまえたん。」ときかれたので、わたしが「うん。」とこたえると、
「このカニは、もずくガニというカニでとってもおいしいだけぇ」とおしえてくれました。
わたしはとってもうれしくなって、バケツにつめたいみずを入れて、そのカニを入れてやりました。おかあさんもおとうさんもびっくりしていました。
そのあと、おにいちゃんとそのカニに「もすちゃん」というなまえをつけてやりました。せっかくつかまえたカニをたべることはできませんでしたが、たくさんしゃしんをとってかんさつしたあとは、うみにかえしてやりました。うらしまたろうのおはなしみたいにうみからつかいものがあらわれたらいいなあとおもって、つぎのひ、うみをながめていました。いくらまってもつかいのものは、きませんでした。
  またらいねん、もっとおおきくなったもずちゃんにあえたらうれしいなあとおもっています。らいねんまでバイバイといってかえってきました。

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ねぇねぇ聞いて

八女市立福島小学校3年 城後 陽咲
  ねぇねぇ聞いて、うちは、ほたる
あまか水ば、えらい好いとるったい
昔は、ぎゃんきれいか川ばっかりやったばってん、このごろ「生活はい水」っち言うとかね?人間がきたなかつばっか流してくるけん
うちどんの住める場所がどんどん無くなってきよるっちゃんね、あれはどげんか出来んとかね?、どげんかしてもらわな、ほたるは全めつするばい、おねがいやけんこれい上いのちばうばわんでくれんね!

   ねぇねぇ聞いてよ、
おいらコウテイペンギン
さい近のあつさで氷がとけてしまって氷の上でいっしょに遊んで

いた仲間もたくさんいなくなってしまったんだ。
おいらたちは、さむいところじゃないと十分なごはんが食べられなくて弱っていっちまう。なのにどんどんあつくなってきちまってるせいでおいらたちの住むところも食べるごはんもなくなってきてしまっている。
どうにかしてくれないとみんなのいのちがあぶないんだ。おねがいだから、これい上あつくならないようにたすけてほしい。

すまんがきいてくれんかのう。
わしはむかしからここに住んでおる木じゃ。
毎日、古き仲間たちとたわいもない話をするのが大好きな年よりじゃ。
でも、
さいきん仲間が切られへってきているっちゅううわさを耳にしてのう。
仲間が切られ連れていかれるっちゅうのは、むねがくるしいのう。
悲しいのう。
さみしいのう。
どうかわたしの友を、家ぞくを連れて行かないでくれんかのう。
おいぼれのさい後のねがいじゃ。
どうかこの幸せな日びまでうばわんでくれ。
明日はとうとうわしの番じゃ。
みんなありがとう、さようなら。

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奨励賞

小さなことから未来は変わる

吉富町外一市中学校組合立吉富中学校2年 フラ 恵莉咲
  窓の外を見ると緑いっぱいの菜園が広がっている景色を想像したことはありますか。毎日の食卓に自分で育てた新鮮な野菜が並んでいたら、と考えたことはありますか。私は小さい時から、家族と一緒に家庭菜園をしてきました。
  家庭菜園と環境問題。一見関係なさそうに見えるこの二つの事は、実は様々な点で繋がっています。地球温暖化、大気汚染、異常気象。誰もが一度は聞いたことのある言葉ではないでしょうか。しかし、これらの言葉を聞いても、あまりピンとこない、自分には関係ない、と考える人がほとんどだと思います。私も少し前までは、その一人でした。しかし、中学に入り自分でインターネットに触れる機会が増え、気温や降水量の極端な気候変動によって様々な問題が起きていて、私たちの生活に大きな影響が出ていることを学びました。例えば、農作物の不作や、海での不漁です。更には、暑さの原因の「ヒートインフレーション」と呼ばれる現象により、生活に必要不可欠なライフラインの供給が不安定になり、食料価格を押し上げているということも知りました。このような危機的状況を知り、私は「自分で出来ることはないだろうか。」と考え、その気持ちを父に相談しました。すると父に、
「家庭菜園をすることで、輸入に頼らずに食べ物を手に入れることが出来るから、自分で食物を育てることも、環境をよりよくする活動に入るんじゃないか。」
と言われました。確かに、他の国から食べ物を輸入すれば、その分だけ輸送の際に多くの二酸化炭素が排出され、地球を汚染しています。食べ物の生産地から、それらの消費地との距離をフード・マイレージと言います。ある記事を見ると、日本は他の国々と比べてフード・マイレージの値が圧倒的に高いことが分かりました。このような事態に見て見ぬふりをし続けていて、いいのでしょうか。
  これらの問題を解決する手掛かりとなり、誰でも簡単に始められる事があります。それが、家庭菜園です。自宅の庭や近くにある畑で野菜を育てれば、フード・マイレージを限りなくゼロに近づけることができます。航空機や長距離トラックも必要ないので、二酸化炭素の排出も、もちろんありません。むしろ、植物には二酸化炭素を酸素に変える働きがあり、地球環境にプラスになります。なにも、大きな畑が必要なわけではありません。私の父は、学生時代にアパートのベランダで小さなプランターを使って野菜を育てていました。今私は、家族とトマトやきゅうりを育てています。庭の隅に一種類の野菜を育ててみるだけでもいいのです。環境問題を他人事だと思わずに真剣に受け止め、身近な事から変えていくべきです。一人一人が目の前にある小さな課題を解決していけば、地球規模の環境問題も改善されると思います。

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奨励賞

サワガニと僕

みやま市立瀬高中学校2年 末吉 栄達
  僕の住む街には清水山という山がある。森や小さな沢がたくさんある自然豊かな山だ。五月初めの頃になるとこの山にはサワガニが現れる。僕は幼い頃からサワガニが大好きだ。
  この時期になると僕はこの山に連れて行ってもらう。帽子を被ってかごを持って。もちろんサワガニを見つけにいくためだ。
   車を走らせること十分。僕達は山の途中にある湧き水が出ている場所にたどり着いた。僕はサワガニを見つける時は必ずここに来る。小さな沢だが水が澄んでサワガニがたくさんいる。近くは人があまり通らないので思う存分サワガニを楽しむことができる。
   まず僕はサワガニがいそうな所を見つけるため、沢の周りを回ってみた。すると僕の手のひらよりも少し大きいくらいの石を見つけた。サワガニは石の下などの暗い場所に身を隠しやすい。ここならサワガニが居るかもしれない。直感的にそう思った。
「あっ。」
思わず声が出た。石の下、澄んだ水の中に真っ赤な甲羅のサワガニ。とてもキラキラしている。興奮を落ち着かせて、僕はゆっくり石を持ち上げ、サワガニが驚いて逃げないようにしずかにしずかに手を入れ、そっとサワガニをつかんだ。そして素早くかごのなかに入れる。ふー、よかった。僕はほっとした。かごの中でサワガニが元気よく動きまわっている。改めてサワガニを見てみる。大きなハサミに大きな眼。絵の具では出せない真っ赤な甲羅。十分に眺めた後、サワガニは水の中へとかえした。
   最近、沢にいるサワガニの数が少なくなってきているように感じる。サワガニは水のきれいな場所にしかいない。サワガニが減ってきたということは水が汚くなってきているのかもしれない。ぼくはこの川にいるサワガニを守らないといけない、そう思った。
「あっ!カニいたよ!」
妹がそう叫んだ。僕は走って妹のところに向かっていた。

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奨励賞

環境保護と環境ビジネス

鵬翔中学校3年 盛武 怜生
  人類の進化と科学の進歩は切っても切り離せないのと同様に、科学の進歩と環境破壊も切っても切り離せないものだ。これは歴史的に見ても揺るがない事実であり、これからも続く人類の未来においても永遠に発生する葛藤でもある。だからこそ私はこのことに真摯に対応しなければならないと思う。
   現在の日本において、環境保護はどのようなものが成されているのだろうか。ここでは書ききれない程の環境保護の法律や施策が存在している。しかし、本当に環境保護の法律や施策なのかと疑うものも多くあるのが現実である。
   例えば太陽光発電における太陽光パネルの設置についてである。私は、休日に家族とドライブに行くのが楽しみの一つなのだが、行く先々に太陽光パネルが設置されている。住宅やマンションの屋根、大規模商業施設や高層ビルの屋上など設置場所は様々だ。しかし、その中でも私に疑問を生じさせる設置場所がある。それは山中に設置された太陽光パネルである。
   今やどこの山林を見ても太陽光パネルを設置していない所はないのではないか。私は思う、どうして、山林を破壊してまで太陽光パネルを設置するのだろうと。太陽光発電を推進したそもそもの要因の一つに、火力や原子力発電に頼っている日本の発電事情の改善とそれに伴う環境破壊の改善があったはずである。にも関わらず、なぜか今の日本は山林を破壊した上で太陽光パネルを設置しているのだ。私でも分かる問題なのに、なぜ大人はこれを放置するのだろうか。私はその一つの解答に再エネ賦課金やそれに付随する各種補助金が環境ビジネスとして成立しているからではないかと思っている。    再エネ賦課金とは、再生エネルギーは各電力会社が買い取り、その買い取り費用を電気を使用する国民全員で負担するというものだ。再生エネルギーを推進する国の方針とはいえど、通常の電気料金に追加という形で賦課金を太陽光パネルの設置者へ支払う国民の心情は複雑である。太陽光パネルの設置に伴う各種補助金も然り、国民の税負担にて成り立っている。
   事業者が再エネ賦課金で大きく儲けるには大規模な太陽光パネルの設置が必要だ。市街地の中でそのような大規模な土地はないだろう。だからこそ、山林に目を付けたのではないかと思う。その結果、山林は破壊され、雨水を貯めることが出来ず、動植物はいなくなり、再エネの為に環境保護はおろか破壊されることになったのだと思っている。
    今一度、私たちは、個人レベルで地球を守ることを考えなければならないと思う。賦課金や補助金というお金ではなく、気持ちで解決を目指せる環境保護についてを。

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奨励賞

海奈ちゃんの大冒険

鵬翔中学校1年 石山 明依
   これは自然が好きな女の子のお話です。女の子の名前は海奈ちゃん。海奈ちゃんは明日が楽しみで、うきうきしていました。なぜなら明日、都城市に住むおばあちゃんの家に一人で行くからです。
「海奈ちゃんおう寝よっか。」
とお母さんに言われて寝ました。
   次の日海奈ちゃんはお出かけバッグに荷物をいれてさぁ出発です。お母さんは大きいお腹をさすりながら海奈ちゃんに
「この駅で降りてね。おばあちゃんを困らせたらだめよ。」
と心配すると、
「大丈夫だよ。海奈お姉さんだから。」
と言って出かけました。
   海奈ちゃんが電車に乗った次の瞬間です。とつ然目の前に二人の精霊が現れました。
「こんにちは、海奈ちゃん私は海の精霊よ。」
と、精霊が話し出しました。海奈ちゃんは、
「海の精霊さん?」
と少しとまどっています。すると、
「僕は、森の精霊さ。僕たちは海奈ちゃんに
    お話しがあってきたんだ。」
「お話し?」
そう海奈ちゃんが聞くと、
「うん、私たちはね、海那ちゃんのおじいちゃんから頼まれて来たの。」
「さて、さっそくだけど海那ちゃんは、海は好きかい?」
「うん。」
「実はね、海と森は仲良しなんだ。」
「えっ場所が違うのに?」
「そうなんだ、海は森がないと生きていけないんだ。」
「そうよ、海と森はつながっているの。でも最近は森にゴミを捨てる人がたくさんいて困るのよね。」
「えっどうして?」
「さっきも言ったようにね。海と森はつながっているからね川を下ってゴミが海へながれつくんだ。」
「そうだったんだ…。」
「まもなく○○駅にとう着します。」
アナウンスが流れました。
「あら、もう時間?」
「ねぇ、なんでおじいちゃんは海奈にこのお話しを頼んだの?」
「あのね、海奈ちゃんのおじいちゃんは自然が大好きだったの。そこで同じように自然好きな海奈ちゃんが産まれたの。」
「でも、最近は自然を大切にしない大人がいるから海奈ちゃんがお姉ちゃんになる時に、この話をしてくれと頼まれたの。」
あちゃんは
「よくきたね。海奈ちゃん。」
と言うと海奈ちゃんはにっこり笑って言いました。
「おばあちゃんあのねー。」
数日後、海奈ちゃんに妹ができました。その子の名前は「林(りん)」ちゃん、海奈ちゃんは可愛い妹を見ながら、林ちゃんも自然が好きだといいなと思いました。

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奨励賞

もったいないを考えよう

鵬翔中学校2年 鬼塚 奏音
   自然という言葉で一番に連想するのは、ベランダから見える風景。大淀川の河川から、海につながり、遠くには水平線。夏はきらめき、冬には穏やかな中に初日の出が見え、新しい気持ちにさせてくれる。 僕は毎日見るこの風景が大好きだ。環境問題について考える、ということは、この景色をいつまでも守ることと考える、ということなのだろう。
   ただ、普段の僕がいつも環境問題について考えて行動しているか、といえばそうでもない。SⅮGsについても学習しているし、温暖化や大気汚染についてもテレビや本で知識を得ている。普段から考えていないのは、目に見える変化があまりなく、実感がないからだろう。
   しかし、今回改めて、環境問題について考え、調べていくと、地球は恐ろしく変化していることが分かる。今年の夏はとにかく暑「い。そして、太陽が照りつけていると思ったら、急な雨。それもスコールのように降る、自然災害のニュースもよく目にする。美しい四季のある日本は、亜熱帯気候のように変化しているのだ。温暖化の影響で二千百年は桜が咲かなくなるというデータもある。この異常な暑さ、何千年もかけ、ゆっくりと変化してきた結果で、結果となるまで実感を得にくいのだろう。だからこそ、しっかりと考えて未来の自然を守っていくことを考えなければならないのだ、と感じた。
   さて、十四才の僕に何ができるのか。本やインターネットの情報にはいろいろあるが、できることを意識、実行し、実生活するためにはどうしたら良いのか。一緒に暮らしている祖父母はよく
「もったいない」という言葉を使う。「もったいないから電気を消しなさい。」
「もったいないから残さず食べなさい。」
   正直、「うるさいな」と聞いていたのだが、実は「もったいない」は世界で環境保護活動を考える重要な概念で、他の言語では該当するような言葉がないらしい。調べてみると、「もったいない」には、消費期限、再使用、再利用の意味だけでなく自然や物への敬意も込められている唯一無二の言葉であるそうだ。とても日本らしい表現と感じるし、「なるほど」と感心した。忙しい生活の中で、一つ一つのことに「環境」について考え行動することは難しいが、「もったいないかどうか」考えることは十四才の僕にもできることではないだろうか。
もったいないから食べられる量注文しよう。
もったいないから洗って使える物を選ぼう。
もったいないから紙は裏も表も使おう。
もったいないを考えよう。
僕の好きな、ベランダからの風景を守るために。

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